前治療数が多く、化学療法に不適応の再発慢性リンパ性白血病(CLL)に対し ホスホイノシタイド3キナーゼ(PI3K)δ(デルタ)阻害薬idelalisibとリツキシマブの併用投与は、リツキシマブを単独投与するプラセボ群に比べ、無増悪生存(PFS)のほか、奏効率(ORR)、全生存(OS)、リンパ節サイズを有意に改善したほか、認容性が確認された。良好な成績から早期中止となったェーズ3試験116の結果について、米国Weill Cornell Medical CollegeのRichard R. Furman氏らが、米国ニューオリンズで12月7日から10日まで開催された第55回米国血液学会(ASH2013)で発表した。

 idelalisibは、Bリンパ球の活性化、増殖、生存に必須の蛋白質であるPI3Kδに対する特異性の高い阻害薬で、CLL細胞の増殖を阻害し、アポトーシスを誘導する。

 今回発表された116試験は二重盲検無作為化プラセボ対照比較のフェーズ3試験。中間解析においてidelalisib投与群のPFSが有意に改善したことから、2013年10月に独立データモニタリング委員会の勧告に従い早期中止された。

 対象は、Karnofskyスコアが40以上で、前治療で抗CD20抗体を含む治療もしくは2つ以上の抗癌剤による治療を実施し、最終治療から24カ月未満に進行した再発CLL患者220人。

 リツキシマブ(6カ月間投与)とidelalisib(1日2回150mg投与)を併用する群(idelalisib群)と、リツキシマブ(6カ月間投与)にプラセボを投与する群(プラセボ群)に110人ずつ無作為に割り付けた。リツキシマブを6カ月間投与した後は、idelalisib単剤もしくはプラセボを病勢進行(PD)まで投与する。PDが認められた患者は拡大試験117に参加し、idelalisib群にはidelalisib 300mgを1日2回、プラセボ群にはidelalisib 150mgを1日2回投与した。
 
 主要評価項目はPFS。副次評価項目はORR、LNR(転移リンパ節数/総郭清リンパ節数)、OS。

 年齢中央値はidelalisib群が71歳、プラセボ群が71歳、診断からの期間中央値はそれぞれ7.8年、8.6年、前治療数中央値はともに3。前治療の使用薬剤がリツキシマブだった患者はそれぞれ91%、88%、シクロホスファミドが64%、70%、フルダラビンが56%、64%、ベンダムスチンが58%、54%。前治療レジメンはBR療法がそれぞれ46%、43%、FCR療法が33%、36%、リツキシマブ単剤は32%、31%。免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子(IGHV)に変異のない患者は83%、85%だった。

 投与期間中央値はそれぞれ3.8カ月(範囲0-16)、プラセボ群が2.9カ月(0-15)。

 試験中断率はidelalisib群が19%、プラセボ群が48%だった。idelalisib群の中止理由は患者からの申し出が6%、病勢進行、有害事象がそれぞれ5%、プラセボ群では病勢進行が31%、死亡が8%、有害事象が6%だった。

 主要評価項目のPFS中央値は、idelalisib群が未到達、プラセボ群が5.5カ月で、有意に改善した(ハザード比0.15、95%信頼区間:0.08-0.28、p<0.0001)。

 ORR率は、プラセボ群が13%だったのに対し、idelalisib群が81%と有意に高かった。リンパ節サイズが総和で50%以上減少した患者の割合は、プラセボ群が4%だったのに対し、idelalisib群が93%と有意に多かった。

 さらに、idelalisib群のOSハザード比は0.28で、プラセボ群より有意に高かった(95%信頼区間:0.09-0.86、p=0.018)。

 試験中断を要する有害事象発現率はidelalisib群が8%、プラセボ群が10%だった。

 重篤な有害事象はidelalisib群の40%、プラセボ群の35%で確認された。idelalisib群における主な重篤な有害事象は肺炎、発熱が最も多く6%、発熱性好中球減少症が5%、プラセボ群では肺炎が8%、発熱性好中球減少症が6%だった。

 また、グレード3以上の有害事象はidelalisib群の56%、プラセボ群の48%で見られた。idelalisib群におけるグレード3以上の主な血液学的毒性は好中球減少症が34%、血小板減少症が10%、貧血が5%、プラセボ群ではそれぞれ22%、16%、14%だった。idelalisib群の6人(5%)でALT/AST値上昇が見られたが、うち4人でidelalisibの再投与が可能だった。idelalisib群で見られたグレード3以上の非血液学的毒性は下痢が4%、発熱、疲労がそれぞれ3%など。

 これらの結果からFurman氏らは、「idelalisibとリツキシマブとの併用療法は、17p欠失/TP53変異患者を含む前治療数の多い再発CLL患者に対して、PFSをはじめ、ORR、LNR、OSを有意に改善した。また、許容可能な安全性プロファイルが示された」とまとめた。

 なお、米国では2013年9月、idelalisibについて難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(iNHL)の適応で新薬承認申請を提出ずみだ。米食品医薬品局(FDA)は116試験のデータに基づき、idelalisibをBreakthrough Therapyに指定しており、CLLの適応での承認申請に向け話し合いが進行中だ。欧州では2013年10月に、iNHLとCLLを適応に承認申請されている。