未治療もしくは1-2コースの前治療歴のあるフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)の急性リンパ性白血病(ALL)患者に対し、Hyper-CVAD+Ponatinib併用療法は有用である可能性が示唆された。フェーズ2試験によるもので、米国University of Texas MD Anderson Cancer CenterのElias Jabbour氏らが、米国ニューオリンズで12月7日から10日まで開催されている第55回米国血液学会(ASH2013)で発表した。

 ponatinibは経口Bcr-Abl阻害薬で、Ph+のALL患者において再燃を引き起こすT315Iクローンを抑制するとされている。これまでの臨床試験において、2-3種類のチロシンキナーゼ阻害薬に不応となったT315I変異患者を対象にponatinibを投与した結果、細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)は40-50%だったことが報告されている。

 Jabbour氏らは、ALL患者に対して化学療法とponatinibを併用することでより良好な奏効率が得られ、T315Iクローンにおける再燃率を低下させられ、微小残存病変の根絶が得られる見込みが高いと想定。未治療のPh+ ALLと診断された患者、もしくは前治療で1-2コースの化学療法(TKIも可)を実施したPh+ ALL患者を対象にフェーズ2試験を実施した。

 評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効率(RR)、全生存(OS)、レジメンの安全性の評価など。

 まず、8サイクルのHyper-CVAD(シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)を、高用量メトトレキサート+シタラビンと21日おきに交互に実施。Ponatinib 45mgは1サイクル目の14日間に経口投与し、その後の7サイクルでは連日投与した。また、CD20発現が20%以上の患者では4サイクルのリツキシマブを投与。その後、完全奏効の得られた患者には維持療法としてponatinib 45mgを毎日経口投与、ビンクリスチンとプレドニゾロンは1カ月ごとに、2年間投与した。

 未治療Ph+ ALL患者は34人、前治療歴のあるPh+ ALL患者は3人だった。

 年齢中央値が51歳、男性割合が54%、PS 0-1が84%、PS 2-3が16%、CD20陽性患者は30%、Ph+の割合は89%。追跡期間中央値は9カ月(範囲1-22)。

 1年PFS率は100%、1年OS率は86%。

 完全奏効(CR)率は100%(33例中33例、1人は開始時にCR、3人は評価するには時期尚早)、細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)率は100%(30例中30例、4人は開始時に2倍体、3人は評価には時期尚早)、分子遺伝学的大寛解(MMR)率は93%(34例中31例)、分子遺伝学的完全寛解(CMR)は71%(34例中24例)だった。なお、導入療法後のCCyR率は93%だったが、2サイクル終了後には100%となった。MMRまでの期間中央値は3週間、CMRまでの期間中央値は10週間だった。微小残存病変(MRD)陰性例は33例中30例(91%)だった。

 投与サイクル中央値は4サイクル(範囲1-8)だった。

 血小板数が回復(100x109/L)するまでの期間中央値は1サイクル目は23日(範囲17-35)、その後のサイクルでは22日(範囲0-35)、絶対好中球数(1.0✕109/L)は1サイクル目は18日(範囲13-29)、その後のサイクルでは16日(範囲0-28)だった。

 5人が死亡し、その原因は敗血症(2人)、非ST部分上昇型急性心筋梗塞後の胸痛、原因不明の胸痛、治療とは無関係の心イベント(それぞれ1人ずつ)だった。

 グレード3または4の非血液学的毒性は導入療法中の感染症が最も多く49%、ALT・AST上昇が32%、ビリルビン上昇が22%、アミラーゼ/リパーゼ上昇16%、皮疹11%、膵炎11%などだった。

 全37人のponatinibの投与量は45mgが32%、30mgが49%、骨髄移植後に15mgが14%、その他のチロシンキナーゼ阻害薬への変更が8%だった。減量を要した18人の理由は皮疹が39%、肝機能検査結果が22%、併存症・体調不良が17%などだった。

 これらの結果からJabbour氏は、「Hyper-CVADとponatinibの併用療法は高い分子学的奏効率が得られた。また、重篤な有害事象によって導入療法後にponatinibは30mgまで減量を要する例が多かった」とまとめた。なお、試験は進行中だ。