経口pan-Class I PI3K阻害剤のSAR245409について、現在進行中の国際的、多施設共同、非盲検のフェーズ2のARD12130試験の予備的な結果から、再発・難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者のデータが報告された。報告によると、SAR245409単剤療法の寛解率は44%で、臨床的な活性と受容可能な安全性プロファイルが示された。12月7日から10日まで米国ニューオリンズで開催されている第55回米国血液学会(ASH2013)で、米国Dana-Farber Cancer InstituteのJennifer R Brown氏が発表した。

 PI3K/mTOR経路の調節異常は、リンパ腫の発生病理に影響している。SAR245409は、class I PI3Kアイソフォーム(α、β、γ、δ)に加えてmTORC1、2も阻害する。リンパ腫患者16人を対象として最大耐用量(MTD)を拡大コホートで検討したフェーズ1試験では、1人に継続的な完全寛解(CR)、2人に部分寛解(PR)が得られた。

 Brown氏らは、再発・難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)、FL、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の患者における寛解率により、SAR245409の有効性を評価することを主要目的とするフェーズ2試験を実施した。

 SAR245409は28日を1サイクルとして、50mgを1日2回経口投与した。MCL群(23人)、FL群(24人)、CLL/SLL群(23人)の3群では、第1段階においてMCL群で3人以上、FL群で6人以上、CLL/SLL群で4人以上に寛解が得られた場合、第2段階に進み、対象数を増やして検討することとした。DLBCL群(38人)は1段階のみのデザインとした。今回は2013年10月11日をデータカットオフ日として、FLの第1段階の結果が発表された。

 FL群で適格とされたのは、2001年のWHO分類でGrade1、2、3のいずれかと診断された再発・難治性のFLで、中悪性度のサブタイプへの形質転換の疑いがなく、化学療法を2レジメン以上6レジメン以下で受け、評価可能病変を1個以上有する患者だった。さらに、適切な臓器および骨髄の機能を有し、ECOG PSは2以下であることとした。

 第1段階にはFL患者28人が登録された。年齢中央値は62.5歳(範囲:38-87)、男性は17人(60.7%)、ECOG PS 2は4人(14.3%)、登録時にIV期だった患者は13人(46.4%)だった。初回診断からの期間の中央値は5.5年(範囲:1-22)、前治療のレジメン数中央値は3で、前治療のレジメン数が4以上だったのは7人(25.0%)だった。濾胞性リンパ腫国際予後指標(FLIPI)の中央値は2(範囲:0-5)だった。

 有効性の評価が可能だったのは28人中27人で、第1段階で最初に有効性の評価を行ったのは24人だった。8人(28.6%)が治療を継続中で、20人(71.4%)は治療を中止しており、主な中止理由は、11人(39.3%)が増悪(PD)、6人(21.4%)が有害事象だった。

 患者の15%以上に発現した有害事象は、下痢、疲労感、発疹、嘔吐、咳、尿路感染症、上腹部痛、発熱、上気道感染などだった。17人(60.7%)にグレード3または4の有害事象が発現した。16人(57.1%)に重篤な有害事象が発現し、このうち複数の患者で観察されたのは、肺炎(3人、10.7%)、急性腎不全(2人、7.1%)、下痢(2人、7.1%)だった。有害事象による治療中止は6人(21.4%)だった。グレード3以上の血液毒性は、リンパ球数減少14人(50.0%)、好中球数減少4人(14.3%)、白血球数減少4人(14.3%)、貧血3人(10.7%)、血小板数減少2人(7.1%)だった。非血液毒性では、肝毒性が4人(14%)、発疹に関連する事象が14人(50%)、高血糖に関する事象が5人(18%)に発現し、このうちグレード3以上の事象はいずれも各2人(7%)に観察された。

 寛解は、最初に評価可能だった24人中12人(50%)で得られ、CRは4人(16.7%)、PRは8人(33.3%)だった。評価可能だった全27人中では12人(44.4%)で寛解が得られ、CRは4人(14.8%)、PRは8人(29.6%)だった。Grade別の寛解率は、最初に評価可能だった24人では、Grade1/2が58.8%、Grade3が28.6%、評価可能だった全27人では、それぞれ50.0%、28.6%だった。

 24週を超える無増悪生存期間(PFS)は、最初に評価可能だった24人では14人(58.3%)、全27人では14人(51.9%)で得られた。

 同試験では、第1段階のFL群において、あらかじめ定められた寛解率の基準(6人、25%)を達成したため、FL群は拡大され、第2段階に進められている。

 他の3群の評価も進行中で、MCL群は第1段階で寛解率が達成されたため第2段階に進み、CLL/SLL群は第1段階で寛解率が達成されなかったため第2段階には進めず、DLBCL群は2013年7月に患者登録が完了した。薬物動態と薬理学的な解析も進められている。