日本人の低悪性度B細胞性リンパ腫(LGBCL)に対し、リツキシマブ単剤の投与回数を増やした寛解導入療法とそれに続く維持療法は有効である可能性が示唆された。多施設共同フェーズ2試験によるもので、広島西医療センターの山田恭平氏ら(試験責任者は名古屋医療センターの永井宏和氏)が、米国ニューオリンズで12月7日から10日まで開催されている第55回米国血液学会(ASH2013)で発表した。

 抗CD20モノクローナル抗体のリツキシマブを用いた維持療法は、特にLGBCL患者において有効であることが報告されているが、そのレジメンは標準化されていない。

 また、リツキシマブを用いた寛解導入療法としては、1週間隔で4回リツキシマブを投与するのが一般的だが、投与回数を8回に増やした際の報告は少ないほか、リツキシマブ単剤を1週間隔で8回投与する寛解導入とそれに続く維持療法については報告がない。

 そこで山田氏らは、LGBCL患者を対象に、リツキシマブを1週間隔で8回投与する寛解導入療法後にリツキシマブによる維持療法を最大2年間実施した際の安全性と有効性を評価する多施設共同フェーズ2試験を実施した。

 対象は、20-79歳、ECOG PS 0-2、WHO分類(2001)で低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)と診断された患者のうち、小細胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓周辺帯リンパ腫、MALT型節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫(グレード1、2、3a)で、リツキシマブによる前治療歴のない、Ann-Arbor分類で病期II-IV(10cm超の巨大腫瘤病変は除外)とした。

 寛解導入療法では、1週間隔で8回リツキシマブ (375 mg/m2)を投与した。寛解導入療法後1カ月以内と、維持療法開始1カ月前に奏効もしくは病勢安定(SD)だった患者には、1週間隔で4回リツキシマブを投与する維持療法を実施。病勢進行するまで6カ月おきに最大4コースを投与した。治療期間は最大で2.5年となる。

 主要評価項目は奏効率 (ORR)、副次評価項目は完全奏効率(CRR)、3年無増悪生存期間(PFS)、3年生存期間(OS)、有害事象。

 閾値ORRは45%、期待ORRは65%で、検出力を80%とした場合には38人の患者が必要だった。

 2005年12月から2009年5月にかけて、国立病院機構臨床血液グループ (CHG-NHO)に所属する12施設から41人の患者が登録された。

 年齢中央値は64歳(範囲41-79)、男性割合が34%、組織型は濾胞性リンパ腫が76%、MALTリンパ腫が12%、節性辺縁帯B細胞リンパが7%、小細胞性リンパ腫が5%だった。Ann-Arbor分類による臨床病期はIIが29%、IIIが29%、IVが41%、FLIPIによるリスク群分類は低リスク群が29%、中間リスク群が46%、高リスク群が24%、GELFクライテリアにおいて低腫瘍量は63%、高腫瘍量は37%、化学療法歴のある患者は9%だった。

 ORRは75.6%(90%信頼区間:62.2-86.1)で、CRRは63.4%だった(90%信頼区間:49.4-75.9)。

 追跡期間中央値3.58年(範囲0.44-6.00)時点で、3年PFS率は79.7%(90%信頼区間:66.6-88.1)だった。

 追跡期間中央値4.12年 (範囲:0.44-6.00)時点で、3年OS率は97.4%(90%信頼区間:87.1-99.5)だった。

 病勢進行した患者を除き、腫瘍量別に3年PFSを解析したところ、高腫瘍量群と低腫瘍量群に有意差はなかった。

 CTCAE v2.0によるグレード3以上の有害事象は好中球減少症(2人)、γ-GTP上昇(2人)、GOT上昇(1人)、GPT(1人)、発熱(1人)で、グレード4以上の有害事象は見られなかった。

 これらの結果から山田氏は、「LGBCL患者に対し、投与回数を増やしたリツキシマブ単剤の寛解導入療法とそれに続く維持療法は、良好なPFSが得られ、毒性も低く、リツキシマブ未治療のLGBCL患者への良好な治療選択肢となる可能性が示唆された。今後は、さらなる大規模な試験を行い、5年間の治療成績まで検討したい」と語った。

 また、共同研究者の広島西医療センターの下村壮司氏は、「リツキシマブ単剤で完全寛解が得られることから、リツキシマブを化学療法と併用した際に発現する恐れのあった有害事象を回避でき、患者の負担が少ない治療といえる。今回、リツキシマブ単剤による寛解導入・維持療法において懸念された皮疹や発熱は想定より少なかったので、今後大規模試験を行った際にはその発現率に気を付けたい」とコメントしている。