慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)患者へのファーストラインとして、BCR-ABL阻害薬ponatinibは有効な可能性が報告された。またこれまでの臨床試験の結果から懸念された循環器系の有害事象として、全てのグレードの高血圧が22%、胸痛が14%、このうちグレード3以上の高血圧は8%、急性冠症候群が2%で確認された。フェーズ2試験によるもので、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJorge E. Cortes氏らが、米国ニューオリンズで12月7日から10日まで開催されている第55回米国血液学会(ASH2013)で発表した。

 ponatinibはBCR-ABL阻害薬で、この他にFit3、VEGFR、c-Kit、SRC、PDGF-Rなどのキナーゼを阻害する。

 米食品医薬品局(FDA)は2012年12月、ponatinibについて、前治療のチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性または不耐用となったCMLとフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(ALL)の適応で承認。だが、血栓と重度血管狭窄リスクへの懸念から、2013年10月に販売の一時停止を製造業者に要請した。現在、FDAは同剤の安全性評価を進めており、治療中の患者については治療継続のリスクとベネフィットを担当医と相談するよう勧告している。

 今回Cortes氏らは、慢性期CML患者に対し、ponatinibをファーストラインとして投与した際の安全性と有効性を検討した単施設、シングルアームのフェーズ2試験の試験結果を報告した。

 対象は、前治療歴のない、もしくはIFN-αもしくはTKIによる治療歴が1カ月未満の、18歳以上、ECOG PS 0-2、臓器機能が正常に保たれ、心血管疾患既往歴もしくは膵炎歴のないフィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血病(CML)患者。

 開始投与量は45mgとし、必要に応じて30mg、15mg、1日ごとに15mgと減量する。2013年7月13日からは開始投与量を30mgに修正した。

 主要評価項目は、6カ月時点の細胞遺伝学的完全奏効(CCyR)、副次評価項目はCCyR率、投与早期の分子遺伝学的大寛解(MMR)、分子遺伝学的完全寛解(CMR)、増悪までの期間、全生存(OS)、安全性プロファイルなど。

 登録患者予定数は50人だったが途中で80人に変更。だが、同剤によって重篤な動脈血栓イベントの累積発現率が増加したことから、2013年10月に登録を停止した。データカットオフ日は2013年10月1日。

 2012年5月12日から2013年9月13日までに51人の患者が登録された。開始投与量は43人が45mg、8人は30mgだった。年齢中央値は48歳(範囲21-75)、男性割合は57%、イマチニブ治療歴(1カ月未満)が8%、ダサチニブ治療歴(1カ月未満)が4%、Sokalスコアが低リスクは69%、中間リスクは22%、高リスクは10%。追跡期間中央値は9.3カ月(範囲0.2-17)だった。

 ponatinib投与中断率は78%、ponatinib中断期間中央値は9日(範囲1-47)、ponatinibの減量を要した患者は73%、ponatinib投与量中央値は30mg(1日1回)、2013年10月1日時点で試験を中止したのは2人だった。なお、安全性情報によって、11月22日までにさらに17人について患者もしくは医師から試験中止の要求があった。

 完全血液学的寛解(CHR)率は90%で、細胞遺伝学的完全奏効率(CCyR)率は98%、分子遺伝学的奏効(MMR)は81%、分子遺伝学的完全寛解(CMR)は26%だった。

 CCyRを達成したのは合計41人で、その経時的変化を見ると3カ月時点が38人、6カ月時点が32人、9カ月時点が25人、12カ月時点が17人だった。

 循環器系または血管系の有害事象としては、全てのグレードの高血圧が22%、胸痛が14%、このうちグレード3または4のものは高血圧が8%、急性冠症候群が2%だった。

 グレード3または4の血液学的毒性は貧血が2%、好中球減少が6%、血小板減少症が5%。グレード3または4の非血液毒性は血清リパーゼ上昇が45%、膵炎が20%など。

 これらの結果からCortes氏は、ponatinibは新規に診断された慢性期CML患者に対するファーストラインとして、投与早期から高い細胞遺伝学的完全寛解と分子遺伝学的大寛解が得られたことから有用である可能性があるとした。

 なお、前治療歴のあるCML患者を対象にしたフェーズ1、2試験で動脈血栓イベントの累積発現率が増加したことへの懸念から、この試験への登録は終了している。