日本人のイマチニブ抵抗性/難治性の成人フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(CML)患者に、経口SRC/ABLチロシンキナーゼ阻害剤Bosutinib(SKI-606)が有効であることが明らかとなった。国内で進行中のフェーズ1/2試験で、1日あたり600mg投与までの安全性と良好な薬物プロファイルが確認され、1日あたり500mgの投与で効果と忍容性が認められた。成果は12月7日から10日までニューオリンズで開催されている米国血液学会(ASH2013)で、秋田大学医学部附属病院の高橋直人氏によって発表された。

 フェーズ1/2試験は日本人のフィラデルフィア染色体陽性CML患者を対象に、2つのパートに分けて、オープンラベルで行われ、安全性、薬物動態、有効性について評価されている。

 パート1部分は、イマチニブ抵抗性/難治性のCML慢性期(CP)患者を対象に、Bosutinibの1日あたり600mg投与までの安全性と薬物動態を評価するために行われた。20歳以上75歳未満の患者を対象に400mg投与から開始し、1日目に1回投与、3日目から28日目まで毎日投与して評価し、次の用量(500mg投与群、600mg群)に進むこととした。各用量には3人から6人を登録することとした。

 パート1では17人の患者がBosutinibの投与を受けた。400mg群が7人、500mg群が7人、600mg群が3人だった。400mg群と500mg群の1人ずつは試験の早期終了(病勢進行と患者希望)のため、用量制限毒性(DLT)の評価対象外とされた。最初の28日間で、400mg投与群では6人中1人(グレード3の肝障害)、500mg投与群では6人中1人(グレード4の肝機能異常)でDLTが認められたが、600mg群では認められなかった。過去の文献の結果に基づいてパート2の開始用量は500mgとすることになった。薬物動態は用量依存的だった。

 パート2は、20歳以上のイマチニブ抵抗性/難治性のCML-CP患者に投与する場合、進行CML患者(移行期または急性転化期)にセカンドラインとして投与する場合と、イマチニブとダサチニブもしくはニロチニブに抵抗性/難治性の患者にサードラインとして投与する場合で有効性と安全性について評価した。パート2のBosutinibの開始投与量は1日あたり500mgとし、効果が不十分な場合は600mgまで増量できることとした。主要効果評価項目は、セカンドラインとして投与されたCML-CP患者における24週までの蓄積細胞遺伝学的大寛解(MCyR)率とされた。

 パート2には46人が登録され、そのうちセカンドラインが35人(CML-CPが28人、進行CMLが7人)、サードラインが11人だった。パート1と2合わせて63人の患者がBosutinibの投与を受けた。患者の年齢中央値は55.0歳(20.0-78.0)で男性が61.9%、CMLと診断されてからの期間の中央値は27.39カ月(0.92-282.02)だった。サードラインでダサチニブを投与された患者は9人、ニロチニブを投与された患者は2人だった。観察期間中央値はCML-CP期のセカンドライン患者で138週(35-204)、進行CMLのセカンドライン患者で25週(17-179)、サードラインの患者で37週(24-56)だった。

 パート2のセカンドラインのCML-CP患者28人において、24週までの蓄積MCyR率は36%(10人)だった。細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)が29%、細胞遺伝学的部分寛解(PCyR)が7%だった。ベースラインでMCyRだった患者も含めて試験を通じてMCyRを維持していたのは75%だった。MCyRまでの時間の中央値は12.3週で、MCyRが得られた患者13人のうち、MCyRが失われたのは1人だけだった。蓄積分子生物学的寛解(MMR)率は43%で、MMRまでの時間の中央値は48.0週、MMRの期間中央値は36.1週だった。AP/BPへの移行は1人だけだった。48週時点の無増悪生存(PFS)率は100%、96週では94%だった。48週時点、96週時点の全生存(OS)率はどちらも96%だった。治療が有効でなくなった患者は43%だった。

 セカンドラインの進行CML患者で24週までに確認血液学的完全寛解(cCHR)になった患者はなく、84週時点で7人中1人がcCHRとなり、その期間は95.3週だった。MCyRまでの時間中央値は5.0週で、期間の中央値は88.2週だった。AP/BPへの移行は1人で起こり、48週、96週のPFS率は21%、OS率は43%だった。

 サードラインの患者では、24週までの蓄積MCyR率は18%(2人)で、試験中MCyRを維持できた率は64%(7人)、試験中の蓄積MMR率は18%だった。

 全体として多く見られた治療関連副作用は下痢(95%)、皮疹(57%)、鼻咽頭炎(51%)だった。グレード3/4の治療関連副作用が86%の患者で起こり、多いものはリンパ球減少症(21%)、リパーゼ上昇(19%)だった。高橋氏は「下痢に注意は必要だが、比較的その他の副作用は少なく、患者にとって良い選択肢の1つになる可能性がある」と語った。