80歳以上のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者に対し、リツキシマブは毒性が少なく生存を改善するが、ドキソルビシンの有用性は明らかでないことが示された。癌登録の患者データをレトロスペクティブ解析した結果によるもの。米国Saint Louis VA Medical CenterのKenneth R. Carson氏らが、米国アトランタで12月8日から開催された第54回米国血液学会(ASH2012)で発表した。

 DLBCLの標準治療は、R-CHOP療法(リツキシマブ、 シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)だが、高齢者にとっての至適治療は明らかでない。

 退役軍人保健局(VHA)の癌登録で、1998年から2008年までに登録された80歳以上の初発DLBCL患者523人のうち、治療情報や全身状態(ECOG PS)のデータがそろっている476人を解析対象とした。原発性の中枢神経DLBCLや皮膚DLBCLの患者は除外した。また治療関連死は、治療後30日以内の死亡と定義された。

 まず治療の有無で分けた結果、全生存期間(OS)は有意に異なることが示された(p<0.001)。全身化学療法を受けていない患者(191人)のOS中央値は1.9カ月だが、ドキソルビシンによる治療を受けた患者(193人)では30.2カ月、ドキソルビシン以外の治療を受けた患者(92人)では12カ月を超えていた。

 全身化学療法を受けた患者のうち治療日が判明している患者273人において、治療関連死は48人(18%)だった。48人中32人(67%)は治療1サイクル目に死亡していた。また診察時にECOG PS 0/1の患者の治療関連死は8%で、PS 2-4の患者の27%に比べて有意に低かった(p<0.001)。

 単変量解析で、ドキソルビシン投与群(193人)と非投与群(92人)を比較したところ、PS 0/1とPS 2-4(p=0.021)、Charison併存症スコア低値(p=0.028)、B症状なし(p=0.042)、コロニー刺激因子(CSF)の使用(p<0.001)が有意に異なった。一方、病期やLDH、リツキシマブの使用では有意な違いはなかった。

 治療によるCox回帰分析では、併存症、PS、B症状、CSFの使用で調整した結果、リツキシマブ投与は死亡リスク低下と有意に関連していた(ハザード比0.62)。

 CSFの使用は有意ではなかったが、死亡リスク低下と関連している傾向があった(ハザード比0.76)。またPS 2-4は死亡リスク増加と関連しており、特に、診断から45日以内の死亡リスクが高かった(ハザード比 19.7、45日以降:ハザード比1.9)。

 ドキソルビシン投与は、その他の変数で調整すると、OSに対して有意な関連性は示さなかった(ハザード比0.87)。これについてCarson氏は、最初の解析では、ドキソルビシン投与群のほうが非投与群に比べ、OS中央値は長かったが、その結果は患者背景が異なっていたことによるものと解釈した。

 またドキソルビシンの用量強度でみると、85%以上の患者は183人中29人(16%)で、ドキソルビン投与群の治療関連死が14%だったことから、治療関連死は85%以上の用量強度と関連している可能性を指摘した。

 これらの結果から、80歳以上のDLBCL患者に対して、治療は有用であり、リツキシマブは毒性が少なく、生存を改善するが、ドキソルビシンの役割は明確でないとした。