再発性または難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者に、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬ibrutinib(開発名PCI-32765)を適用した国際的な多施設フェーズ2試験PCYC-1104-CAの中間解析結果は、ibrutinib単剤投与の高い有効性と忍容性を示した。米Texas大学MD Anderson癌センターのMichael Wang氏がASH2012で12月11日に報告した。

 BTKはプレB細胞受容体を介した核への信号伝達において中心的な役割を果たす。この信号伝達は正常なB細胞の成熟に必須で、この経路が機能しないと抗体産生は起こらなくなる。Ibrutinibは特異性の高いBTK阻害薬で、経口投与できる。悪性のB細胞の移動と接着を阻害し、さらにそれらの細胞にアポトーシスを誘導する作用を持つことが示されている。

 今回ibrutinibが適用されたMCLは、非ホジキンリンパ腫のなかでも悪性度の高い疾患だ。当初の治療に対する反応は良好だが再発する患者が多く、さらに化学療法抵抗性を示すようになる。

 オープンラベルのフェーズ2試験は、米国9カ所、欧州9カ所で、1種類以上5種類以下の治療歴を有し、全身状態を示すECOG PSが2以下、他の併存疾患がない、再発性または難治性のMCL患者を登録して、現在も進行中だ。患者には進行が見られるまで、ibrutinib 560mg/日を28日サイクルで連日経口投与し、非ホジキンリンパ腫国際ワーキンググループの改訂版治療効果判定基準を用いた評価を2サイクルごとに実施している。

 ボルテゾミブ投与歴がある(先に2サイクル以上のボルテゾミブ投与を受けた)患者と、投与歴が無い(全くない、または1サイクルのみ投与を受けた)患者を登録しており、これら2集団を分けての分析も行っている。

 今回は、2011年2月15日から2012年5月21日までに登録された患者から2012年9月21日までに得られたデータを分析対象にした。主要評価指標は、全奏効率(ORR;完全奏効[CR]+部分奏効[PR])に設定した。

 対象となる期間に登録されていたのは115人(65人がボルテゾミブ治療歴無し、50人があり)。年齢の中央値は68歳、男性が77%、ECOG PSは0-1が89%を占めた。診断からの期間の中央値は42カ月、受けた治療は中央値3種類だった。10cm以上の病変を持つ患者が13%、幹細胞移植歴がある患者が10%、MCL国際予後指標(MIPI)のスコアに基づいてハイリスクと判定された患者が49%、難治性の患者が45%存在した。

 安全性に関するデータは1回以上ibrutinibを使用していた111人の患者から得られた。治療中に出現した有害事象で15%以上が経験していたのは、下痢、疲労感、悪心、上気道感染、呼吸困難、末梢浮腫、発疹、好中球減少症など。グレード3以上の有害事象で5%以上の患者に見られたのは肺炎などだった。

 有効性の評価は110人を対象に実施。63人がボルテゾミブ治療歴無し、47人がありだった。分析時点の治療期間の中央値は9.2カ月で、ORRは、ボルテゾミブ使用歴なし群が65%(うち21%がCR)、あり群が72%(うち23%がCR)、全体では68%(うち22%がCR)になった。再発性または難治性のMCL患者に対する単剤投与でこれほど高い奏効率を示した薬剤はibrutinib以外に無いという。ORRは、どの患者サブグループにおいてもほぼ同様だった。

 全体では、PR達成までの期間は1.4カ月から9.1カ月(中央値は1.9カ月)、CR達成までの期間は1.7-16.4カ月(中央値5.5カ月)だった。

 治療継続期間が長くなるほどibrutinibに対する反応は向上した。登録が早かった51人を対象に分析したところ、治療期間が中央値3.7カ月の時点のORR達成率は69%(うち16%がCR)、14.7カ月の時点では75%(うち39%がCR)で、CR達成率の増加が顕著だった。

 得られた結果は、ibrutinibを単剤で再発性または難治性のMCL患者に用いると高いORRが得られること、CR率も高いことを示した。効果は治療期間中持続し、徐々に大きくなることも示唆された。有害事象プロファイルは先に報告されたものと同様で、忍容性は高かった。