未治療のCD20陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)患者で、標準治療であるR-CHOP療法へのベバシズマブ追加は、心毒性のリスクを増加させることが、多施設共同無作為化プラセボ対照フェーズ3試験(MAIN試験)の最終報告で明らかになった。オーストラリアPeter MacCallum Cancer CenterのJohn F. Seymour氏らが、米国アトランタで12月8日から開催されている第54回米国血液学会(ASH2012)で発表した。

 MAIN(MabThera+Avastin in NHL aggressive)試験は、未治療のCD20陽性DLBCL患者を対象に、R-CHOP療法(リツキシマブ、 シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)へのベバシズマブ追加の有効性を検討した。患者登録は、IPIスコア 2以上もしくはbulky disease(7.5 cm以上)で、左室駆出率(LVEF)50%以上を条件とした。

 主要評価項目は試験担当医師により評価された無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、無イベント生存期間、無病生存期間、奏効率、完全奏効(CR)率、安全性プロファイルと設定された。

 患者はR-CHOP療法とベバシズマブを投与する群(ベバシズマブ群)と、R-CHOP療法とプラセボを投与する群(プラセボ群)に無作為に1:1に割り付けられた。

 まずR-CHOP療法とベバシズマブもしくはプラセボを投与し、次に効果判定して、PR以上の患者には、さらにR-CHOP療法とリツキシマブ(2サイクル)、およびベバシズマブもしくはプラセボを投与した。R-CHOP療法は、R-CHOP-21療法4サイクルまたはR-CHOP-14療法3サイクルを投与した。ベバシズマブは10 mg/kgを14日毎または15 mg/kgを21日毎に投与した。

 その後、再度、効果判定して、CRまたは不確定CR(CRu)のベバシズマブ群の患者には、ベバシズマブ15 mg/kgを21日毎に12カ月まで投与した。

 なお、継続した安全性モニタリングの中で、心毒性(LVEFの低下)の増加が認められ、2010年5月に、データ安全性モニタリング委員会(DSMB)の勧告により、ベバシズマブの投与は中止され、その後は安全性データの追跡が継続された。

 試験では787人が無作為化割り付けされ、781人が治療を受けた。追跡期間中央値はプラセボ群が23.7カ月、ベバシズマブ群が23.6カ月であった。

 有効性についてはベバシズマブによる上乗せ効果は見られず、 PFS中央値はプラセボ群が42.9カ月、ベバシズマブ群が40.2カ月(ハザード比 1.09、p=0.49)だった。OS中央値には達していないが、死亡が両群とも21%だった(ハザード比 1.03、p=0.84)。

 グレード3/4の有害事象は、プラセボ群が55%、ベバシズマブ群が58%に認められた。心毒性に関して、LVEFの低下が、プラセボ群では8.0%、それに対しベバシズマブ群は18.0%だった(オッズ比 2.5、95%信頼区間:1.6-3.9)。LVEFの低下は、ベースライン値からの20%以上の低下、もしくはベースライン値からの10%以上の低下とLVEF 50%未満と定義されていた。

 うっ血性心不全(CHF)の発生は、プラセボ群が6.5%、ベバシズマブ群が16.2%(オッズ比2.8、95%信頼区間:1.7-4.5)だった。またCHFの発生は両群ともドキソルビシンの累積用量が200mg/m2以上になって以降、増加していた。多変量解析でもCHFイベントはベバシズマブ投与と有意に関連していた(オッズ比2.9、p<0.001)。

 以上の結果から、「R-CHOP療法へのベバシズマブの追加はLVEFイベントやCHFイベントのリスク増加に関連しており、臨床的なベネフィットは期待できない」とまとめた。