新たに診断された高リスク以外の急性前骨髄球性白血病(APL)患者に対するファーストライン治療として、化学療法を含まないオールトランスレチノイン酸(ATRA)と三酸化ヒ素(ATO)との併用療法は、2年時の無イベント生存率(EFS)で標準的な化学療法(AIDAレジメン)に非劣性を示したことが、第3相のAPL0406試験から明らかになった。12月8日から11日まで米国アトランタで開催されている第54回米国血液学会で、イタリアUniversity Tor VergataのFrancesco Lo-Coco氏が発表した。

 APLに対するファーストラインの標準治療はATRAと化学療法の併用療法で、多施設共同試験で高い治癒率が示され、多数の対象と十分な追跡期間で確認されている。一方、ATRAとATOの併用療法は、単施設の検討で高い有効性と毒性の軽減が可能なことが示されたが、対象数は少なく、追跡期間も短い。この2つのレジメンを比較するランダム化試験はこれまで報告されていない。

 Lo-Coco氏らはイタリアとドイツが共同で行ったAPL0406試験において、白血球数が10×109/L以下の低リスクまたは中間リスクのAPL患者を対象として、ATRAとATOの併用療法(ATRA群)の、ATRAと化学療法の併用療法(化学療法群)に対する非劣性を検証した。

 ATRA群では、M.D. Anderson Cancer CenterのEstey氏らが提唱したレジメンを採用した。導入療法では、ATO 0.15mg/kgとATRA 45mg/m2を毎日、完全寛解(CR)まで投与した。その後地固め療法として、ATOを週5日、4週投与と4週休薬のスケジュールで計4サイクル施行するとともに、ATRAを2週投与と2週休薬のスケジュールで計7サイクル施行した。

 一方、化学療法群では、AIDAレジメンとして、導入療法でATRA 45mg/m2/日を毎日、イダルビシン12mg/m2/日を2、4、6、8日目に投与し、CRまで継続した。地固め療法として、イダルビシンを含む化学療法とATRAによる地固め療法を3カ月サイクルで施行した後、維持療法として、メトトレキサート、6-MPとATRAを2年間投与した。

 同試験の主要評価項目は2年時のEFS、副次的評価項目は2年時の完全寛解率(CR)、全生存期間(OS)、累積再発率(CIR)、毒性プロファイルなどだった。

 2007年10月から2010年9月までに、イタリアのGIMEMAグループの40施設とドイツのSAL-AMLSGのグループの27施設から登録された162人中、159人が適格基準を満たした。ATRA群79人(年齢中央値44.8歳)、化学療法群80人(46.2歳)となり、患者背景は両群でバランスがとれていた。追跡期間中央値は34.3カ月だった。

 導入療法が評価可能だった154人中、CRはATRA群では75人中75人(100%)、化学療法群では79人中75人(95%)で得られ、両群間に有意差はなかった(p=0.12)。導入療法中の死亡は化学療法群のみ4人に発生した。

 主要評価項目である2年時のEFSは、ATRA群97.1%、化学療法群85.6%となり(p=0.02)、ATRA群の化学療法群に対する非劣性が示された。

 OSもATRA群98.7%、化学療法群91.1%となり有意差が認められた(p=0.02)。無再発生存率(DFS)はATRA群97.1%、化学療法群90.3%、CIRはそれぞれ1.5%と5.6%で、両群間に差はみられなかった(それぞれp=0.14、p=0.28)。

 APL分化症候群の発現率は両群間で同様だった。中等度はATRA群13%、化学療法群10%、重度はそれぞれ7%と6%だった。全例に予防的にプレドニゾンをCRまで投与した。

 15日を超えて持続したグレード3または4の好中球減少と血小板減少の発現は、導入療法と地固め療法で、ATRA群と比べて化学療法群で有意に多かった。ATRA群では化学療法群と比べて、QT延長(13%対0%)、肝臓毒性(57%対5%)、白血球増加症(47%対24%)が有意に多く発現した(それぞれp=0.0005、p<0.0001、p=0.007)が、管理可能であり、治療中止を要したのはQT延長が発現した1人のみだった。

 導入療法施行後、ATRA群の2人、化学療法群の5人に再発を認めた。CR中の死亡はATRA群1人、化学療法群5人だった。ATRA群の死因は気管支肺炎だった。