幼児の急性骨髄性白血病に対する寛解導入療法を行う際に、導入療法の減量を行えば早期の死亡を回避できることが、日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)が行ったAML-05試験の結果から示された。用量調節を行うことで、早期死亡例はなくなった。12月8日からアトランタで開催されている第54回米国血液学会で、JPLSGを代表して東京医科歯科大学小児科の富澤大輔氏が発表した。

 急性骨髄性白血病(AML)に罹患する1歳未満の幼児は、多剤併用による寛解導入療法に対して脆弱で、日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)によるAML-05試験の過去の報告では、初期に登録された32例(うち適格例28例)において、肺合併症による許容できない早期死亡が認められた。そこでプロトコール変更を行っている。プロトコール変更後、幼児は17例が追加登録され、今回、計45例の幼児AML患者の予後について検討を行った。

 AML-05試験は、447例の18歳未満のAML患者を対象とした試験。白血病細胞の染色体異常および寛解導入療法に対する治療反応性を用いたリスク分類で層別化し、各リスク群の治療戦略の検討を行った。

 寛解導入療法は2段階で行っており、1段階目はエトポシド+シタラビン+ミトキサントロン、2段階目は大量シタラビン+エトポシド+イダルビシンを行った。染色体異常および寛解導入療法後の骨髄芽球量などによりリスク層別化し、低リスク群には大量シタラビン療法4コースを含む計5コースの多剤併用化学療法の有効性と安全性、中間リスク群には大量シタラビン療法4コースを含む計5コースのより治療強度を高めた多剤併用化学療法の有効性と安全性、高リスク群では大量シタラビン療法を中心とした多剤併用化学療法とその後に同種造血幹細胞移植を行う治療法の有効性と安全性を検討している。

 プロトコール変更後は、2歳未満の患者は体重に応じて多剤併用療法を減量し、1歳未満の幼児については寛解導入療法の用量を3分の2とした。

 1歳未満群(45例)、1歳以上2歳未満群(以下、2歳未満群、58例)、2歳以上群(340)の患者背景において、性、診断時の白血球数には3群間に差はなかった。細胞遺伝学的には、t(8;21)が1歳未満群、2歳未満群はほとんどいなかったのに対し、2歳以上群では36%と高く、t(9;11)は2歳以上群で少なく、他の11q23異常、t(1;22)、t(7;12)は1歳未満群で多かった。

 FLT3-ITD解析では、陽性例が1歳未満群なし、2歳未満群5%、2歳以上群では13%だった。フォローアップ期間中央値は3.06年。

 年齢別に予後を検討した結果、寛解導入療法1段階目の施行後、骨髄芽球が5%未満となった患者の割合は、1歳未満群が66.2%、2歳未満群87.9%、2歳以上群が85.2%。寛解導入療法2段階目まで終了した時点での完全寛解率は1未満群73.3%、2歳未満群84.4%、2歳以上群87.9%。42日間以内の死亡は、1歳未満群11.1%、2歳未満群1.7%、2歳以上群0.2%だった。奏効が得られなかった患者の割合は3群間で差はなかった。

 3年無イベント率は、1歳未満群46.1%、2歳未満群55.4%、2歳以上群55.2%と差は認められなかった。3年全生存率は1歳未満群55.9%、2歳未満群77.0%、2歳以上群74.7%で、2歳未満群、2歳以上群と比べて1歳未満群で低かった。3年再発率は1歳未満群44.0%、2歳未満群41.0%、2歳以上群42.6%。3年非再発死亡率は1歳未満29.2%、2歳未満群7.4%、2歳以上群11.8%だった。

 次に幼児に対するプロトコール変更前群(28例)と変更後群(17例)の予後を検討した結果、寛解導入療法1段階目の施行後、骨髄芽球が5%未満となった患者の割合は、変更前群57.1%、変更後群70.5%。寛解導入療法2段階目まで終了した時点での完全寛解率は変更前群67.9%、変更後群82.4%、42日間以内の死亡は変更前群17.9%、変更後群0%だった。

 2年無イベント率は変更前群42.8%、変更後群49.0%、2年全生存率は変更前群67.8%、変更後群74.1%。2年再発率は変更前群41.3%、変更後群50.9%、2年非再発死亡率は変更前群25.0%、変更後群7.1%だった。

 グレード3/4の有害事象は、血液学的毒性については変更前群、変更後群ともにほとんどの症例で発生しており、差はなかった。非血液学的毒性は、出血、神経障害、下痢、口内炎、AST/ALT上昇、クレアチニン、低酸素症などについて変更後にはほとんど発生していなかった。

 これらの結果から、富澤氏は、「幼児の急性骨髄性白血病患者に対し、化学療法の用量調節を行うことで早期死亡を回避することができ、治療成績もプロトコール変更前と比べて同等の結果が得られた。しかし、予後をさらに改善していくために治療法を開発していく上で薬剤の追加などは難しい。より毒性の少ない標的薬のような薬剤の開発が望まれる」と指摘した。