再発または再燃した濾胞性リンパ腫(FL)またはマントル細胞リンパ腫(MCL)に対し、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬Abexinostat(PCI-24781)を投与した際の奏効率(ORR)は48%だった。FL患者に限ると、ORRは64%と高い値を示したことが報告された。多施設のフェーズ2試験PCYC-0403の結果について、米国The University of Massachusetts Medical SchoolのAndrew M. Evens氏が、米国アトランタで12月8日から開催されている第54回米国血液学会(ASH2012)で発表した。

 HDAC阻害薬は、HDAC活性を阻害することで、ヒストンやそのほかの細胞タンパクのアセチル化を誘導し、アポトーシスやRAD51のダウンレギュレーションを導く作用を持つ。HDAC阻害剤Abexinostat は、HDAC8以外のクラスIとクラスIIのHDACに結合し、阻害する経口薬。フェーズ1試験では、25人を対象に用量漸増試験を行い、FLとMCLに対する臨床的活性が確認された。FL患者4人のうち、完全寛解(CR)が1人、部分寛解が1人、安定(SD)が2人。MCL患者2人では、CRが1人、病勢進行(PD)が1人だった。

 今回のフェーズ2試験では、再発または再燃したFL患者とMCL患者の合計30人を対象にしており、奏効率(ORR)のほか、奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、安全性、忍容性について検討した。

 対象は、同種幹細胞移植を除く1-4つの前治療歴を持つFLまたはMCLと診断された患者。中枢神経系リンパ腫は除外した。4週間1サイクルとし、Abexinostat 単剤を1週間1日2回45mg/m2、1週間おきに投与した。

 年齢中央値は67歳、男性割合が66.7%。前治療数中央値は3(範囲1-5)で、そのうちリツキシマブによる前治療歴を持つ患者は96.7%、CHOP+化学療法併用は90.0%。

 全グレードの主な有害事象では、悪心、倦怠感、下痢、血小板減少症などが見られた。グレード3の有害事象では、好中球減少症、倦怠感がそれぞれ10%、血小板減少症、貧血、関節痛がぞれぞれ6.7%。グレード4では、血小板減少症が10.0%、好中球減少症が3.3%だった。1人の患者において、最終投与日から7日後に一時的にグレード3のQT延長症候群が発症し、グレード3の心房細動により短期間で死亡した。

 全患者のORRは48%、CRが4%、PRが44%、安定(SD)が28%、病勢進行(PD)が24%だった。FL患者に限ると、ORRは64%、CRは7%、PRは57%、SDは21%、PDは14%。NHL/MCL患者のORRは27%で、PRは27%、SDは36%、PDは24%だった。

 FL患者の84%(12人)において二方向積和(SPD:sum of the products of the greatest diameters)が減少し、5人の患者は75%超減少した。

 FL患者における奏効期間中央値は13カ月。FL奏効患者の89%は、8カ月以上奏効し、4人の患者は17カ月以上だった。PFS中央値は未達で、5人の患者が現在も試験進行中だ。

 これらの結果からEvens氏は、「再発または再燃のB細胞リンパ腫へのAbexinostatを投与した際のORRは48%だった。MCLのORRは27%だったのに対し、FLでは64%だったことは特筆すべきだ。安全性が確認されたが、20%未満の患者でグレード3以上の血球減少症が見られた。今後、FL患者におけるさらなる検討が求められる」と語った。