再発性/難治性のB前駆細胞型急性リンパ芽球性白血病(ALL)の成人患者に抗CD19 BiTE 抗体blinatumomabを適用したフェーズ2試験で、最適と思われる用量のブリナツモマブの有効性と忍容性が示された。最新のデータは独Wuerzburg大学医療センターのMax S. Topp氏によりASH2011で12月12日に報告された。

 blinatumomabは独Micromet社専有のBiTE(Bi-Specific T Cell Engagers)抗体で、細胞障害性T細胞に、CD19を発現している悪性のB細胞への攻撃を指示するよう設計されている。通常、抗体に対する受容体を持たないT細胞に、抗体は作用できない。BiTEは、一方でT細胞表面の受容体であるCD3を認識し、もう一方で特定の癌抗原(blinatumomabの場合にはCD19)を認識する組み換え抗体で、これを用いて細胞障害性T細胞と癌細胞を結合させれば、T細胞からパーフォリンやグランザイムが放出されて癌細胞はアポトーシスに至る。

 Topp氏らは、blinatumomabの安全性と有効性の評価を目的とする、シングルアームのオープンラベル試験を現在も行っている。対象は、再発性/難治性のB前駆細胞型ALLで、フィラデルフィア染色体陽性者または同種造血幹細胞移植歴のある患者も登録可能とした。

 3通りの用量(5μg/m2/日、15μg/m2/日、30μg/m2/日)のblinatumomabを用いる3通りのレジメンを設定。第1群(7人を登録)には15μg/m2/日の用量のみを適用、2a群(5人)には、最初の1週間のみ5μg/m2/日を投与し、それ以降は15μg/m2/日を適用、2b群(6人)には、最初の1週間は5μg/m2/日、2週目は15μg/m2/日、3週目以降は30μg/m2/日を投与した。1サイクルは28日間で14日間の休薬期間を設けて、治療を繰り返した。

 2a群に用いられた用量が最適と見なされてから、新たに同様の用量を用いる第3群を7人登録したため、最適用量が適用された患者は12人(年齢の中央値は44歳、女性が8人)になった。

 2サイクル終了までに奏効した患者には、同種造血幹細胞移植を行うか、さらに3サイクルのblinatumomab治療を行った。

 主要評価指標は、2サイクルのblinatumomab治療中の完全奏効(CR)または造血系の回復(骨髄の芽球は5%以下、血中や髄外に芽球なし)を伴う完全奏効(CRh)に設定。2次評価指標は、微少残存病変(MRD; 白血病細胞数が定量限界の10−4未満だがPCRではその存在が確認される)、血液学的再発までの時間、全生存率などとした。

 2サイクルの治療で、計25人中17人がCR(12人)またはCRh(5人)を達成した。これら17人全員がMRD陰性になっていた。4番と11番の染色体間に転座がある予後不良のt(4;11)患者と、フィラデルフィア染色体陽性の患者も治療に反応していた。

 2011年11月3日までに17人中6人が再発した。2サイクル後に同種造血幹細胞移植を受けた4人のうち1人が移植後CD19陰性の骨髄再発を経験。2サイクル後もblinatumomabの投与を受けた13人では、2人が骨髄再発(1人がCD19陰性、もう一人はCD19陽性)、3人が髄外再発(2人はCD19陽性、1人は陰性)を見た。

 なお、CD19陽性で骨髄再発した1人の患者は再治療に反応した。最初の治療後、CRhが7カ月持続した後に再発、再びblinatumomabを投与したところ、現在までCRhが維持されているという。

 1群+2a群+2b群の18人の追跡期間は9.7カ月になったが、生存期間の中央値は求められていない。また、1群+2a群+2b群のCR/CRh 達成者12人の血液学的完全奏効の持続期間の中央値は7.1カ月だった。

 多く見られた有害事象は、発熱(67%)、頭痛(33%)、振戦(33%)ですべてがグレードI/IIだった。多くは最初の治療サイクルで見られており、治療が再開できなかった患者はいなかった。

 5人の患者がCNS重症有害事象(痙攣または失見当識)を経験したが、完全に回復し、低用量で治療を再開できた。また、2人はサイトカイン放出症候群となり一時的な治療中止を余儀なくされたが、その後治療は再開された。治療関連の死亡はなかった。

 blinatumomabは単剤で高い奏効率をもたらした。当初は5μg/m2/日、それ以降は15μg/m2/日が適切な用量と考えられたため、この用量を用いる第3群を追加登録して、試験は現在も行われている。