65歳以上の初発多発性骨髄腫患者に対し、MPR療法(メルファラン、プレドニゾン、レナリドミド)による導入療法を行い、その後、レナリドミドによるメンテナンス療法を行うことで、健康関連QOLが改善することが、フェーズ3試験MM-015の解析で明らかになった。ギリシャUniversity of Athens School of MedicineのMeletios Athanasios Dimopoulos氏らが、12月10日から13日に米国サンディエゴで開催されている米国血液学会(ASH2011)で発表した。

 MM-015試験は、65歳以上の初発多発性骨髄腫患者459人を対象に以下の3群に分けた。まず導入療法としてMPR療法(メルファラン、プレドニゾン、レナリドミド)を投与し、その後、レナリドミドによるメンテナンス療法を行う群(MPR-R)、次に導入療法としてMPR療法を行った後、メンテナンス療法としてプラセボを投与した群(MPR)、そして導入療法にメルファランとプレドニゾンのみを投与し、メンテナンス療法にはプラセボを投与した群(MP)とした。

 25カ月のフォローアップで、無増悪生存期間(PFS)中央値はMPR-R群が31カ月と最も長く、MPR群は14カ月、MP群は13カ月で、MPR-R群はMP群に比べて増悪リスクを60%低下することが示された(ハザード比0.395、p<0.001)。

 今回の発表では、MPR-R群とMP群において、病勢進行(PD)もしくはその他の理由で投与を中止した時点(DC)での健康関連QOL(HRQoL)を解析した結果が報告された。HRQoLの評価にはEORTC QLQ-C30とQLQ-MY20が用いられ、QLQ-C30では総合(global)QOL、身体機能、疲労と痛みを、QLQ-MY20では病状と治療による副作用の計6項目が分析された。

 まず、治療前と治療終了時(PDもしくはDC)のHRQoLが比較された。その結果、MPR-R療法によって、6項目のうち3項目で改善していた。総合QOLのスコアが46.8から55.9に改善し(p=0.0021)、痛みは42.6から30.4に減少(p=0.044)、病状は28.6から21.6に改善した(p=0.031)。

 またPDでのHRQoLでは、MPR-R療法によって、総合QOLスコアは37.3から48.0に改善し(p=0.029)、痛みは54.6から38.9に有意に減った(p=0.046)。PD以外の理由による中止時点のHRQoLは、病状のみが改善し、スコアは26.9から16.0に有意に減少した(p=0.007)。

 一方、MP療法では、治療前と治療終了時でHRQoLに変化はなかった。

 次に、治療中と治療終了時のHRQoLが比較された。MPR-R群とMP群それぞれのPDもしくはDC、PDのみ、DCのみでのHRQoL、つまり計36項目において、治療中のHRQoLは治療終了時のHRQoLに比べて、33項目で良好であり、このうち14項目は有意な違いが見られた。

 例えば、PDもしくはDCでのHRQoLは、MPR-R療法では、身体機能スコアが治療中は67.5だが治療終了時は56.9に低下(p= 0.003)、疲労が治療中は37.8だが治療終了時は46.4に有意に増えた(p=0.026)。またMP療法では、総合QoLスコアが治療中は59.4だが治療終了時は48.7に低下し(p<0.001)、身体機能は治療中が70.3、治療終了時は61.6に低下(p=0.001)、疲労は治療中は39.3だが治療終了時は46.7に増加した(p=0.021)。

 また治療中とPDによる中止時を比較すると、MPR-R群とMP群の計12項目のうち9項目では、治療中のHRQoL のほうが有意に優れていた。なお治療による副作用はMPR-R群もMP群も有意な違いはなかった。

 Dimopoulos 氏は、治療効果の最小の差異をみるMinimal Important Differences (MIDs) も用いており、MPR-R群において、副作用を除く5項目に関し、治療中のHRQoLのほうがPD時点よりも臨床的に意義がある改善を示したとした。しかしMP群では臨床的意義のある改善は総合QoLと身体機能の2項目のみであった。

 以上の結果から、「MPR-R療法により病勢進行が遅れることは、初発多発性骨髄腫患者のHRQoLをより高いレベルに維持することになるだろう」としている。