T315I変異を含む様々な変異を起こしたBCR-ABLキナーゼを幅広く阻害できる経口製剤であるponatinibの、大規模フェーズ2試験PACEの初期データが明らかとなった。安全性、有効性ともフェーズ1試験と同様に確認された。

 染色体の転座により生じるBCR-ABLキナーゼは慢性骨髄性白血病(CML)の原因になることが知られている。イマチニブが登場し、CMLに対して画期的な効果を発揮したが、変異が生じた(または元々ある)患者では有効性が低下することが分かっている。変異を克服すべくニロチニブ、ダサチニブといった第二世代のチロシンキナーゼ阻害剤が開発されたが、T315I変異を持つ例には効果がなく、これを解決できる薬剤の開発が期待されている。

 成果は12月10日から13日にサンディエゴで開催されている米国血液学会で、米MD Anderson Cancer CenterのJorge Cortes氏によって発表された。

 PACE試験は、難治性のCML患者(CP期、AP期、BP期)、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(ALL)で、ダサチニブ、ニロチニブに抵抗性または不耐用(R/I)か、T315変異を持つ患者に、毎日45mgのponatinibを投与することで行われた。患者はCP期R/I群、CP期T315変異群、AP期R/I群、AP期T315変異群、BP期/ALLR/I群、BP期/ALLT315変異群の6群に分けられ、CP期では主要評価項目は細胞遺伝学的効果(MCyR)、AP期、BP期、ALLでは血液学的大寛解(MaHR)とされている。試験は進行中で、2011年9月までのデータが解析された。

 444人の適格患者が治療を受けた。CP期R/I群が207人、CP期T315変異群が64人、AP期R/I群が60人、AP期T315変異群が19人、BP期/ALLR/I群が48人、BP期/ALLT315変異群が46人だった。

 CP期の年齢中央値は60歳(18-94)、AP期は60歳(23-82)、BP期/ALLが54歳(18-80)。最初の診断からponatinib投与までの期間の中央値はCP期が7年(0.5-27)、AP期は7年(0.3-28)、BP期/ALLが2年(0.5-27)だった。観察期間中央値はCP期が5.6カ月(0.1-13.8)、AP期は5.6カ月(2.7-13.8)、BP期/ALLが4.7カ月(0.1-11.5)。

 CP期R/I患者207人のうち、イマチニブのみを受けた患者は0人、イマチニブとダサチニブかニロチニブを受けた患者が76人、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブを受けた患者が124人。既に投与を受けたチロシンキナーゼ阻害剤が2剤以上は203人、3剤以上は137人。CP期T315変異患者64人のうち、イマチニブのみを受けた患者は10人、イマチニブとダサチニブかニロチニブを受けた患者が31人、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブを受けた患者が21人だった。既に投与を受けたチロシンキナーゼ阻害剤が2剤以上は53人、3剤以上は26人。全患者444人では、イマチニブのみを受けた患者は16人、イマチニブとダサチニブかニロチニブを受けた患者が172人、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブを受けた患者が237人だった。既に投与を受けたチロシンキナーゼ阻害剤が2剤以上は416人、3剤以上は262人だった。

 ダサチニブかニロチニブに抵抗性だったのはCP期が212人(78%)、AP期70人(89%)、BP期/ALLが86人(91%)、不耐用だったのはCP期が43人(16%)、AP期6人(8%)、BP期/ALLが4人(4%)だった。

 変異の検査は中央検査で行われた。T315変異を持つ患者はCP期が64人(T315I以外の変異があるのは14人)、AP期が19人(T315I以外の変異があるのは2人)、BP期/ALLが46人(T315I以外の変異があるのは10人)だった。R/I患者のうちT315I以外の変異があるのは、CP期が69人、AP期が22人、BP期/ALLが25人だった。T315変異以外のBCR-ABL変異で多かったのは、CP期患者ではF317L、F359V、E255K、G250Eの順だった。全体ではF317L、E255K、F359V、G250Eの順だった。

 臨床効果は、CP期R/I患者でMcyRが得られたのは評価可能191人中79人(41%)、T315I変異患者では57人中37人(65%)だった。AP期R/I患者でMaHRが得られたのは評価可能42人中31人(74%)、T315I変異患者では13人中6人(46%)。BP期/ALLのR/I患者でMaHRが得られたのは評価可能46人中17人(37%)、T315I変異患者では43人中16人(37%)だった。CP期R/I群で191人中63人(33%)が細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)で、分子遺伝学的大反応(MMR)は205人中31人(15%)。CP期T315I群で57人中33人(58%)がCCyRで、MMRは60人中20人(33%)だった。

 全体で多く見られた副作用は血小板減少症(31%、グレード3以上は25%)、皮疹(32%、グレード3以上は3%)、乾燥皮膚(24%、グレード3以上1%)、腹痛(19%、グレード3以上は5%)、頭痛(17%、グレード3以上は1%)、倦怠感(15%、グレード3以上は1%)、好中球減少症(15%、グレード3以上は14%)だった。膵炎は6%(グレード3以上は5%)だった。