イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブの治療で失敗したフィラデルフィア染色体陽性の慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)のサードライン治療において、ボスチニブは臨床的な活性を示し、忍容性も良好であることが、フェーズ1/2試験の結果から示された。12月4日から7日まで米国オーランドで開催された第52回米国血液学会(ASH2010)で、米Emory University School of MedicineのH. Jean Khoury氏が発表した。

 ボスチニブ(SKI606)はSrcとAblのチロシンキナーゼを阻害する経口分子標的薬で、類似のキナーゼであるPDGFRとc-kitはほとんど阻害せず、副作用が少ないことが期待されている。

 Khoury氏らは、フィラデルフィア染色体陽性の慢性期CML患者を対象とするオープンラベルの多施設共同のフェーズ1/2試験を行い、サードライン治療におけるボスチニブの安全性と有効性を評価した。

 ボスチニブの開始用量は500mg/日とし、1日1回投与した。増量は8週までに血液学的完全寛解(CHR)が得られない、または12週までに細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)が得られない場合、グレード3以上の有害事象が認められなければ可とした。

 対象は、フィラデルフィア染色体陽性の慢性期CMLで、イマチニブ(600mg/日)で失敗し、かつダサチニブ(100mg/日以上)に抵抗性または不耐性の場合、またはニロチニブ(800mg/日)に抵抗性の患者とした。

 イマチニブで失敗しダサチニブに抵抗性の患者は36人(うち男性36%、年齢中央値54歳)、イマチニブで失敗しダサチニブに不耐性の患者は51人(同47%、同58歳)、イマチニブで失敗しニロチニブに抵抗性の患者は27人(52%、52歳)となった。診断からの期間の中央値は7.3カ月、5.5カ月、5.0カ月だった。

 前治療の期間の中央値は、イマチニブで失敗しダサチニブに抵抗性の患者では、イマチニブ31.1カ月、ダサチニブ19.5カ月だった。イマチニブで失敗しダサチニブに不耐性の患者では、イマチニブ40.3カ月、ダサチニブ17.0カ月だった。イマチニブで失敗しニロチニブに抵抗性の患者ではイマチニブ29.9カ月、ニロチニブ12.6カ月だった。

 ボスチニブによる治療の期間の中央値はそれぞれ6.5カ月、8.6カ月、7.2カ月だった。dose intensityの中央値はそれぞれ483.8mg/日、398.0mg/日、476.2mg/日となった。

 その結果、CHRは61%、80%、78%だった。細胞遺伝学的大寛解(MCyR)は29%、37%、29%、CCyRは9%、34%、17%だった。分子遺伝学的寛解(MMR)は8%、36%、6%だった。

 1年の時点での無増悪生存期間(PFS)の中央値は、44%、70%、67%、2年の時点では22%、61%、50%だった。1年の時点での全生存期間(OS)の中央値は、79.2、94.0、100%、2年の時点では66.0%、85.0%、100%だった。

 全グレードで多く観察された非血液毒性は、下痢、嘔気、嘔吐、発疹、頭痛などで、グレード3以上はそれぞれ8%、1%、1%、4%、3%だった。血液毒性では、貧血、血小板減少、好中球減少を多く認めたが、グレード3以上は9%、26%、20%だった。高血糖やALTとASTの上昇なども認められたが、グレード3以上は1%、7%、4%だった。

 Khoury氏は「ボスチニブは、第二世代のチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性または不耐性のフィラデルフィア染色体陽性の慢性期CMLに対し、新たな治療選択肢をもたらす可能性がある」と述べた。