様々な変異を起こしたBCR-ABLキナーゼを幅広く阻害できる経口製剤であるponatinib(AP24534)が、T315I変異でも阻害できることがフェーズ1試験で明らかとなった。

 染色体の転座により生じるBCR-ABLキナーゼは慢性骨髄性白血病(CML)の原因になることが知られている。イマチニブが登場し、CMLに対して画期的な効果を発揮したが、変異が生じた(またはもともとある)患者には有効性が低下することが分かっている。変異を克服すべくニロチニブ、ダサチニブといった第二世代のチロシンキナーゼ阻害剤が開発されたが、T315I変異を持つ例には効果がなく、これを解決できる薬剤の開発が期待されている。

 フェーズ1試験の結果は12月4日から7日にオーランドで開催された米国血液学会で、米MD Anderson Cancer CenterのJorge Cortes氏によって発表された。

 フェーズ1試験は用量増多試験として行われ、用量制限毒性が出た用量で被験者数を拡大する形で行われた。フェーズ1に参加した患者は74人で、そのうちの60人が標準療法で再発、難治性のCML患者(CP期44人、AP期7人、BP期9人)だった。試験開始時に変異の検索を行った64人中、1カ所以上の変異がある患者が40人で2カ所以上変異のある患者が5人だった。T315I変異の患者は18人含まれていた。

 ponatinibは用量増多試験で毎日2mg(3人、全員評価可能)、4mg(6人、全員評価可能)、8mg(7人、うち評価可能6人)、15mg(8人、うち評価可能7人)、30mg(7人、うち評価可能6人)、45mg(13人、うち評価可能12人)、60mg(13人、うち評価可能12人)のカプセル剤を投与する群と、45mg(12人、うち評価可能9人)と60mg(5人、全員評価可能)の錠剤を毎日投与する群で行われた。用量制限毒性は45mgカプセル群、45mg錠剤群で各1件、60mgカプセル群で4件、60mg錠剤群で2件発現した。

 グレード3/4の副作用で多かったのは血小板減少症12人、リパーゼ上昇5人、好中球減少症5人、膵炎3人だった。

 抗腫瘍効果は、CMLのCP期患者の場合、38人中36人で血液学的完全寛解が達成され、細胞遺伝学的大寛解が25人、細胞遺伝学的完全寛解が20人で得られた。T315I変異患者9人全員で血液学的完全寛解、細胞遺伝学的大寛解が達成され、8人の患者は細胞遺伝学的完全寛解となった。CMLのAP期患者の場合、17人中6人で血液学的完全寛解が達成され、細胞遺伝学的大寛解が4人、細胞遺伝学的完全寛解が2人で得られた。T315I変異患者5人のうち1人だったが、細胞遺伝学的大寛解まで到達した。

 安全性と有効性の結果から、ponatinibのフェーズ2試験の用量は45mgとなった。大規模フェーズ2試験PACEが2010年9月に開始されている。