レナリドミドサリドマイドなどの免疫調整薬は多発性骨髄腫の治療に有効だが、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高くなるといわれている。免疫調整薬による治療を受けた多発性骨髄腫患者を対象とした多施設共同観察研究MELISSEで、VTEに対する予防的投薬によって、VTE発生率は約4%と低くなることが確認された。フランスHopital HuriezのXavier Leleu氏らが、12月4日から7日までオーランドで開催された第52回米国血液学会(ASH)で発表した。

 多発性骨髄腫で血栓塞栓症の発生率はサリドマイド治療で約3%、レナリドミド治療で5%、サリドマイドもしくはレナリドミドを用いた併用療法では10%以上と報告されている。VTEに対してはアスピリンや低分子量へパリンの予防的投薬が勧められている。

 そこで研究グループは、レナリドミドもしくはサリドマイドによる治療を受けた多発性骨髄腫患者において、予防薬の使用率と予防薬を使用している患者でのVTEの発生率について前向きな多施設共同観察研究を実施した。

 対象はファーストラインからサードライン治療の多発性骨髄腫患者で、登録時に免疫調整薬による治療を受けていた52施設の523人。このうち男性が271人、平均年齢は70歳、多発性骨髄腫の罹病期間は6カ月未満が31.9%、1年以上2年未満が29.4%、2年以上5年未満が21.1%、5年以上が17.6%だった。深部静脈血栓症(DVT)の家族歴のある患者が3.4%、動脈もしくは静脈血栓塞栓症の既往歴のある患者が11.2%だった。

 VTEに対する予防的投薬は、VTEの高リスク患者(72人)では低分子量へパリンが最も多く(45.8%)、ビタミンKアンタゴニスト(31.9%)やアスピリン(19.4%)も使われていた。中等度リスク患者(192人)ではアスピリン(57.8%)、低分子量へパリン(19.8%)が使われ、低リスク患者(240人)ではアスピリンの使用が最も多かった(69.9%)。このことから、「低リスク、中等度リスクの患者に対する第一選択薬はアスピリンであった」とした。

 4カ月後の時点で、DVTもしくはPEの発生率は17人(3.5%)だった。DVTは10人、PEが3人で、DVTとPEの発症が4人だった。17人のうち、レナリドミドとデキサメタゾンによる治療を受けていた患者が11人、サリドマイドとメルファラン、プレドニゾロンが3人、サリドマイドとデキサメタゾンが1人、サリドマイドが2人だった。またファーストライン治療の患者が9人、セカンドライン治療が4人、サードライン治療が4人で、DVTの既往歴のあった患者は2人だった。

 予防薬としては、DVTを発症した10人中5人がアスピリンを、2人は低分子量へパリンを使用しており、3人は予防薬を使用していなかった。PEの3人ではアスピリンが2人、未使用が1人で、DVT/PEの2人ではアスピリンが2人、未使用が2人であった。


 これらのことから、免疫調整薬による治療を受け、かつVTEの予防的投薬を受けた多発性骨髄腫患者においてはVTEの発生率は低く、「VTEに対する予防的投薬は必須である」とした。