巨大縦隔腫瘤を伴うI〜II期のホジキンリンパ腫に対する北米の標準治療は、ABVD(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)療法と放射線療法の併用である。これに対してStanford VレジメンはABVD療法と治療奏効維持生存率(failure free survival:FFS)や全生存期間(OS)、全奏効率が同等で、治療期間は短く、アドリアマイシンとブレオマイシンの用量が少なく、治療選択肢となることが、フェーズ3の無作為化試験、Intergroup Trial E2496のサブ解析で示された。12月4日から7日まで米国オーランドで開催された第52回米国血液学会(ASH2010)で、米Stanford UniversityのRanjana Advani氏が発表した。

 I、II期のホジキンリンパ腫で巨大縦隔腫瘤を伴う場合、標準治療は集学的治療となる。Advani氏らは、Intergroup Trial E2496のサブ解析でこのようなホジキンリンパ腫に対する2種類の集学的治療の有効性を比較した。

 比較した治療は、ABVD療法(6〜8コース)+放射線療法と、12週の化学療法を行うStanford Vレジメン+放射線療法である。

 ABVD療法では、day1とday15に、アドリアマイシン25mg/m2、ブレオマイシン10unites/m2、ビンブラスチン6mg/m2、ダカルバジン375mg/m2を投与し、6〜8コース行う。一方、Stanford Vレジメンでは、1・3・5・7・9・11週にドキソルビシン25 mg/m2、ビンブラスチン6 mg/m2、1・5・9週にmustard 6mg/m2、3・7・11週にエトポシド60mg/m2×2、2・4・6・8・10・12週にビンクリスチン1.4mg/m2、ブレオマイシン5unites/m2、隔日でプレドニゾン40mg/m2(11週以降は漸減)を投与する。

 予定した化学療法のアドリアマイシンとブレオマイシンの総投与量は、Stanford Vレジメンを12週行う場合は150mg/m2と30mg/m2、ABVD療法を6コース行う場合は300mg/m2と120mg/m2、ABVD療法を8コース行う場合は400mg/m2と160mg/m2となる。

 放射線療法は化学療法の2〜3週後に開始し、縦隔を中心に両群で36Gyを照射した。

 試験に登録されたホジキンリンパ腫患者812人中、巨大縦隔腫瘤を伴うI〜II期のホジキンリンパ腫の患者267人をこの解析の対象とした。ABVD群に136人(うち男性41.2%、年齢中央値31歳)、Stanford Vレジメン群に131人(同51.1%、29歳)が割付けられた。患者背景に差はなく、I期とII期の患者の割合は、ABVD群で12.5%と73.5%、Stanford Vレジメン群で10.7%と72.5%だった。

 ABVD療法で6コースの治療を完了したのは59.6%、8コースの治療を完了したのは28.7%、用量の調整を要したのは77.2%だった。一方、Stanford Vレジメンで12週の治療を終了したのは94.7%、用量の調整を要したのは75.6%だった。放射線療法を受けたのはABVD群81.6%、Stanford Vレジメン群88.5%だった。

 完全寛解と部分寛解を併せた全奏効率は、ABVD群82%、Stanford Vレジメン群86%となり、有意差はなかった。

 フォローアップ期間の中央値5.5年の間に、ABVD群では19人で治療が失敗し、6人が死亡した。Stanford Vレジメン群は25人と9人だった。

 5年のFFSは、ABVD療法85%、Stanford Vレジメン群77%で、有意差はなかった(p=0.18、ハザード比=1.56、95%信頼区間:0.87〜2.88)。5年OSは94%と92%で、こちらも有意差はなかった(p=0.47、ハザード比=1.45、95%信頼区間:0.60〜4.75)。

 Advani氏は、「長期のフォローアップを行い、後期の効果に関する化学療法と放射線療法を評価する必要がある」と話した。