骨髄不全症候群に対する同種造血幹細胞移植において、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)と併用するコンディショニングレジメンとして、シクロホスファミド+フルダラビン(Cy-Flu-ATG)は、シクロホスファミド(Cy-ATG)と比べて移植関連毒性(RRT)を31.7%減少させ、生着不全も増加しなかったことがフェーズ3試験の結果から明らかになった。Cy-Flu-ATGは、骨髄不全症候群の患者のコンディショニングレジメンとして望ましいと考えられる結果が示された。成果は12月4日から7日まで米国オーランドで開催されている第52回米国血液学会(ASH2010)で、韓国Ulsan University HospitalのHawk Kim氏が発表した。

 重度の再生不良性貧血(AA)や低形成の骨髄異形成症候群(MDS)などの骨髄不全症候群に対し、HLA一致同胞ドナー(MSD)による同種造血幹細胞移植(alloHSCT)の標準的なコンディショニングレジメンは、シクロホスファミド200mg/kg+ATGのCy-ATGである。一方、HLA一致非血縁ドナー(MUD)に対するHSCTでは標準治療はなく、生存率の改善とRRTの減少が課題となっている。

 Kim氏らは、ATGと併用するコンディショニングレジメンにおいて、毒性の強いシクロホスファミドを減量しフルダラビンを加えたCy-Flu-ATGにより、代替ドナー(AD)だけでなくMSDでもRRTの発生を減少させることが可能かを検討するフェーズ3の無作為試験を実施し、Cy-ATGとCy-Flu-ATGを比較した。主要評価項目はRRTの30%の低下とした。

 患者をCy-ATG群またはCy-Flu-ATG群に無作為化し、ドナーのタイプで層別化した。Cy-ATG群では、シクロホスファミド50mg/kgを移植5日前から2日前まで投与した。Cy-Flu-ATG群では、フルダラビン30mg/m2を移植6日前から2日前まで、シクロホスファミド50mg/kgを移植3日前と2日前に投与した。両群に、チモグロブリン3mg/kgまたはリンフォグロブリン15mg/kgを移植4日前から2日前まで、またはアレムツズマブ20mgを移植4日前に投与した。

 2003年2月から計83人が登録され、Cy-ATG群40人(うち男性19人、年齢中央値34.5歳)とCy-Flu-ATG群43人(同23人、34.0歳)に割付けられた。Cy-Flu-ATG 群に割付けられ治療中に死亡した1人を除き、全員が予定したレジメンを完了した。AAとMDSの患者は、Cy-ATG群で97.5%と1.9%、Cy-Flu-ATG群で93.0%と7.0%だった。

 ATGは、チモグロブリンとしてCy-ATG群の95.0%、Cy-Flu-ATG群の86.0%、抗リンパ球グロブリン(ALG)としてCy-ATG群の2.5%、Cy-Flu-ATG群の9.3%、アレムツズマブとしてCy-ATG群の2.5%、Cy-Flu-ATG群の4.7%に投与された。ドナーのタイプはCy-ATG群はMSD 65.0%、AD 35.0%、Cy-Flu-ATG群は67.8%と37.2%だった。

 全グレードのRRTの発生率は、Cy-ATG群55.0%、Cy-Flu-ATG群23.3%で31.7%の有意差を認めた(p=0.003)。顆粒球や血小板の生着不全の割合、急性の移植片対宿主病(GVHD)、慢性のGVHD、サイトメガロウイルスのアンチゲネミア法による検出、発熱のエピソード、全グレードの治療関連毒性は、いずれも両群に有意差を認めなかった。
 
 特に肺合併症はCy-ATG群35.0%、Cy-Flu-ATG群11.6%で、後者で有意に低かった(p=0.011)。類洞閉塞症候群や血尿もCy-Flu-ATG群で低い傾向がみられたが、有意差はなかった。

 サブグループ解析でCy-Flu-ATG群のRRTが良好だったのは、女性、HSCT時の年齢が35歳以上、ドナーがMSD、診断から移植までの期間が6カ月未満などの場合だった。

 4年生存率はCy-ATG群77.7%、Cy-Flu-ATG群85.7%となり、後者で高かったものの有意差はなく(p=0.432)、この傾向はMSD、ADでも同様だった。無再発生存率(EFS)も71.9%と71.1%で有意差はなかった。