Ten-eleven translocation(TET)2遺伝子変異はさまざまな骨髄性悪性疾患で認められるものの、疾患にどのように関与するかはこれまで不明であった。今回、TET2遺伝子産物はゲノムDNA中の5-methylcytosine(5-mC)から5-hydroxymethycytosine(5-hmC)への変換に関与しており、遺伝子変異を生じた結果酵素活性が不活化され、エピジェネティクスに異常を起こし、骨髄性悪性疾患を引き起こしている可能性が示された。また、5-hmC の測定は診断と予後予測に有用なツールと考えられた。12月4日から7日までオーランドで開催されている第52回米国血液学会(ASH2010)で、米Cleveland ClinicのAnna Jankowska氏が発表した。

 Jankowska氏らは、まず亜硫酸水素塩でゲノムDNAを処理して、5-hmCを5-methylene sulfonate(CMS)に変換し、CMSに特異的な抗血清を用いてゲノムDNA中の5-hmCを間接的に検出するブロット法を開発した。そしてそのブロット法を用いて、TET2遺伝子の触媒残基をコードしていると予想される領域やTET2の他の機能を障害している領域に変異があるかを調べた。

 研究グループは、さまざまな骨髄性悪性疾患患者102人の解析を行った。TET2遺伝子変異を認めたのは、骨髄異形性症候群(MDS)28人中4人(14%)、MDS/骨髄増殖性腫瘍(MPN)48人中26人(54%)、MPN4人中1人(2%)、原発性の急性骨髄性白血病(AML)11人中2人(18%)、二次性急性骨髄性白血病(sAML)11人中3人(27%)であった。これらの患者の試料をTET2が野生型の患者または対照17人の試料と比較した。

 その結果、TET2遺伝子変異はコード領域全体でみられ、TET2遺伝子変異があるゲノムDNAの5-hmCの値は、野生型の患者や対照と比較して有意に減少していることが分かった。また、TET2野生型の患者でもTET2 mRNAの発現が正常であるにも関わらず、患者の18%で5-hmCの値が低いことも明らかになった。このような患者では、TET2に未知の変異があるかTET2が介在する触媒反応に関与する別の蛋白に変異がある可能性があるという。

 骨髄性悪性疾患に関連するTET2遺伝子変異の影響をさらに調べるため、患者のTET2遺伝子変異に相当する9種の異なるミスセンス変異をマウスのTET2細胞に導入すると、9例中7例で5-hmC値の大きな低下が認められた。