5番染色体長腕欠失のある骨髄異形成症候群(MDS)患者で、レナリドミドの投与を受ける患者のCD34陽性細胞をin vitroでレナリドミドで処理してマイクロRNA143(miRNA143)とマイクロRNA145(miRNA145)、SPARC遺伝子のmRNA発現が増加した場合、レナリドミドの効果が高い可能性が明らかになった。一方、5番染色体長腕欠失のない患者ではマイクロRNA、SPARCmRNAの発現上昇は臨床効果とは関係なかった。成果は12月4月から7日にオーランドで開催されている米国血液学会(ASH)でカナダBritish Columbia大学のChristopher P.Venner氏によって発表された。

 miRNA-143やmiRNA-145は癌細胞の増殖を抑制する因子であることが知られている。SPARCはSecreted protein acidic and rich cysteineの略。CD34陽性細胞は造血幹細胞である。

 研究グループは北米の3施設でレナリドミドの投薬を受けた31人のMDS患者についてmiRNAとmRNAの発現と臨床効果の関係を調べた。31人の患者のうち11人の患者が5番染色体長腕欠失のある患者だった。臨床効果は赤血球における改善(HI-E)を指標とした。CD34陽性細胞をin vitroで10μMのレナリドミドで48時間処理し、miRNA143、miRNA145、miRNA146a、miRNA146b、IL-6mRNA、SPARCmRNA、RPS14mRNAの発現を調べた。CD34陰性細胞でも同様の解析を行った。miRNA、mRNAの発現が1.5倍以上の場合、増加と判定した。

 解析の結果、レナリドミド処理後のmiRNAの発現はCD34陽性細胞ではmiRNA143が1.6倍、miRNA145が1.7倍、miRNA146aが1.2倍、miRNA146bが1.0倍だった。CD34陰性細胞ではいずれのmiRNAも変化はなかった。5番染色体長腕欠失のある患者でも、欠失のない患者でもmiRNA143とmiRNA145は1.5倍を超える発現増加を示したが、miRNA146a、miRNA146bには有意な変化はなかった。CD34陰性細胞は5番染色体長腕欠失のある患者でも、欠失のない患者でもmiRNAの有意な変化はなかった。またmRNAではSPARCmRNAが5番染色体長腕欠失のある患者の場合、CD34陽性細胞、陰性細胞両方で増加していた。

 レナリドミドの臨床効果として、HI-Eを調べたところ臨床データが利用可能だった26人のうち大寛解(major response)が42%の患者で認められた。5番染色体長腕欠失のある患者では8人中7人(87.5%)、欠失のない患者では18人中4人(22.2%)だった。

 HI-EとCD34陽性細胞でのmiRNA発現、5番染色体長腕欠失の関係を調べたところ、5番染色体長腕欠失MDS患者の大寛解患者でmiRNA143、miRNA145、SPARCmRNAの発現上昇が確認された。5番染色体長腕欠失がない患者には大寛解とmiRNA143、145、mRNAの発現上昇は関係がなかった。