一過性白血病(transient leukemia:TL)のダウン症候群の乳児において、低用量シタラビン(Ara-C)療法の毒性は忍容可能で、早期の死亡のリスクが高い白血球数≧100×109/Lの場合でも、早期に治療を開始すれば臨床転帰が改善する可能性がある。12月4日から7日まで米国オーランドで開催されている第52回米国血液学会(ASH2010)で、名古屋大学医学部附属病院小児科の村松秀城氏が発表した。

 TLは一過性骨髄異常増殖症、一過性異常骨髄症とも呼ばれ、ダウン症候群の乳児の約10%に発症する。末梢血中に巨核芽球や赤芽球が発現することが特徴で、多くのTL患者の臨床経過は良好で芽球は自然に消失するが、肝不全や心肺不全などで早期に死亡する患者もいる。

 近年、低用量Ara-C療法が、重度の肝疾患や心肺疾患を有するTL患者の転帰の改善に有効であることが報告された。しかし、多くの症例でこの疾患は自然に改善することから、全ての患者が白血病治療を受けることは推奨されておらず、低用量Ara-C療法でTL患者の生存率が改善するか否かも不明である。

 そこで村松氏らは、ダウン症候群のTL患者に対する低用量Ara-C療法の安全性と有効性を明らかにするため、質問票によるレトロスペクテイブな調査を全国的に行った。

 対象は2003年から2009年にダウン症候群と診断された3カ月未満の乳児で、末梢血中に芽球を認める患者とした。

 その結果、153人(うち男児81人)が同定された。うち34人(22%)が死亡しており、早期の死亡は31人(20%)、死亡時の年齢の中央値は47日(9〜241日)だった。

 単変量解析では、在胎期間が37週未満の早産、白血球数≧100×109/L、重度の出血、全身浮腫を認める場合に共変動を認めた。多変量解析では、早期の死亡のリスク因子として、白血球数≧100×109/Lと全身浮腫が同定された。

 生後9カ月以上生存したのは121人で、そのうち20人(16.5%)は16カ月時(中央値)に急性骨髄性白血病を発症し、全例が急性巨核芽球性白血病と診断された。そのうち18人(86%)は低用量化学療法で完全寛解に至り、現在も生存中で状態は良好である。しかし、難治性または再発性であった3人は死亡した。

 対象の153人中、低用量Ara-C療法は28人(18%)に行われ、用量の中央値は0.95mg/kg/日(0.4〜3.1mg/kg/日)、治療期間の中央値は7日(2〜15日)だった。

 副作用については、好中球数減少(<0.5×109/L)が持続した期間の中央値は0日(0〜14日)で、全例で骨髄抑制は回復し、安全性は治療を通して維持されていた。同治療を11日間受けた1人は好中球数減少による敗血症が持続し死亡した。

 低用量Ara-C療法を受けた28人中16人(57%)は診断から10日以内に治療を受けていたが、残る12人は10日以降に治療を受けていた。

 Ara-Cの有効性について、白血球数≧100×109/Lの患者でサブ解析を行うと、診断から10日以内に治療を受けた群の1年全生存率は66.1%、10日以降に受けた群は33.3%で、早期に治療を受けた群で有意に良好な結果が示された(p=0.035)。