高齢の急性前骨髄球性白血病(ALP)患者に全トランス型レチノイン酸(ATRA)と化学療法を併用した場合、有効性は若年の患者と同様であるが、10年全生存率(OS)は高齢者で有意に低くなる結果が示された。高齢者では、寛解導入療法中の分化症候群や、地固め療法中の感染症といった非再発死亡率(NRM)が上昇するためとみられる。12月4日から7日まで米国オーランドで開催されている第52回米国血液学会(ASH2010)で、浜松医科大学がん教育研究センターの小野孝明氏が、日本成人白血病共同研究グループ(Japan Adult Leukemia Study Group:JALSG)APL97 Studyの結果として発表した。

 ATRAが導入されてからAPL患者の転帰は劇的に改善したが、高齢のAPL患者に焦点を当てた研究は少ない。アントラサイクリン単剤とATRAの併用により、生存率は若年者と同様とする報告がある一方、60歳以上の患者は感染症による早期の死亡と関連するとの報告もある。

 小野氏らは、JALSG APL97 Studyで長期のフォローアップを行った、ATRAと大量化学療法で治療した高齢と若年のAPL患者の臨床像と転帰を比較評価した。

 対象は、1997年5月から2002年6月までに新たにAPLと診断され、本試験に登録された15〜70歳の成人患者。全例にt(15;17)とPML-RARA融合遺伝子の両方、またはいずれかを認めた。

 初回の白血球数により、患者をA群(白血球数<3000/μLかつAPL細胞数<1000/μL)、B群(白血球数≦3000/μL<10000μ/またはAPL細胞数≧10000/μL)、C群(白血球数≧10000/μL)の3群に分け、導入療法の用量と継続期間を決定した。A群にはATRA、B群にはATRA+イダルビシン(IDR)12mg/m2×2日間+シタラビン(Ara-C)80 mg/m2×5日間、C群にはATRA+IDR12mg/m2×3日間+Ara-C100 mg/m2×5日間で投与するレジメンで治療を行った。

 さらにミトザントロン(MIT)、ダウノルビシン(DNR)、エトポシド(ETP)、Ara-C、IDRを用いた地固め療法を3コース行った後、PML-RARA融合遺伝子が陰性の患者は経過観察を行う群または維持・強化療法を6コース行う群に無作為に割り付け、同遺伝子が陽性の患者には維持・強化療法を行った。高齢者と若年者は同じスケジュールで治療した。

 302人が登録され、評価可能だったのはこのうち283人だった。このうち60歳未満は237人(年齢中央値44歳、男性54%)60歳以上は46人(同63歳、65%)だった。60歳以上の群は60歳未満の群と比べ、血小板数が少ない(10×109/L未満)患者が多く、ECOG PS3〜4の患者が多く、血清アルブミン値が低い(3.5g/dL未満)患者が多かった(それぞれp=0.04、p=0.02、p=0.006)。その他の臨床像は両群で差がなかった。

 完全寛解(CR)率は、60歳未満で96%、60歳以上で86%となり、両群に有意差はなかった(p=0.06)。

 寛解導入療法中、死亡は60歳未満4%、60歳以上11%で有意差は認められなかった(p=0.08)が、分化症候群による死亡率は0%と4%で、60歳以上で有意に高かった(p=0.026)。さらに3回目の地固め療法中のNRMは60歳未満1%、60歳以上9%で、高齢者で有意に高かった(p=0.037)。地固め療法中の死亡は全例感染症が原因だった。

 10年全生存率(OS)は60歳未満87%、60歳以上65%となり、高齢者で有意に低かった(p<0.001)。無病生存率(DFS)は67%と65%で、両群で同様だった(p=0.70)。

 小野氏らは「分化症候群には予防とより積極的な支持療法が必要であり、再発率の上昇を伴わない高齢のAPL患者では寛解後の化学療法の強度を下げ、三酸化ヒ素やレチノ安息香酸tamibaroteneなどの骨髄抑制剤以外の薬剤の使用も考慮すべき」としている。