スニチニブ治療を行った転移性腎細胞癌における治療前後のCT画像変化を使って奏効を評価するMASS基準とMSKCCリスク分類を組み合わせると、患者の無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)を高精度に予測できる可能性が示された。2月14日から米国オーランドで開催された2013 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、米University of Mississippi Medical CenterのAndrew Smith氏が発表した。

 転移性腎細胞癌の治療前の予後予測因子としてMSKCCリスク分類が知られている。最近、血管新生阻害薬で効果が得られる患者を予測する因子として、造影CTを用いた、腫瘍の縮小量、造影効果(enhancement)、腫瘍壊死などが有効である可能性が示されている。

 さらに、近年、MASS基準(Morphology Attenuation Size and Structure Criteria)は、RECIST基準やChoi基準と比べて無増悪生存期間をより精度良く予測できる因子である可能性が示唆された。

 そこで同グループは、転移性腎細胞癌に対するスニチニブ治療の効果を予測するバイオマーカーとしてのMASS基準の有効性を検討するため、スニチニブのフェーズ3臨床試験に参加した患者を対象に検討を行った。このフェーズ3試験は、転移性腎細胞癌をスニチニブ群(n=375)、インターフェロンα群(n=375)に割り付けて有効性を比較検討した試験だ。

 スニチニブ群に割り付けられた患者のうち、209例について、治療後のCT画像をMASS基準、RECIST基準、Choi基準で評価し、治療前CT画像と比較した。

 各基準の違いとして、RECISTでは完全奏効(CR)は全ての病変の消失、部分奏効(PR)は腫瘍サイズ30%以上減少、病勢安定(SD)はCR、PR、病勢進行(PD)ではないもの、PDは新規病変の発生もしくは腫瘍サイズ20%以上増大と定義している。Choi基準では、CRは全ての病変の消失、PRは腫瘍サイズ10%以上減少もしくは腫瘍濃染の15%以上減少、SDはCR、PR、PDではないもの、PRは新規病変の発生もしくは腫瘍サイズ10%以上増大かつ腫瘍濃染についてPRの定義に当てはまらないもの、と定義している。

 MASS基準では、FR(Favorable Response)は腫瘍サイズ20%以上減少もしくは1つ以上の濃染病変の壊死もしくは顕著な減弱(40 HU以上)、IR(Intermediate Response)はFR、UR(Unfavorable Response)ではないもの、URは新規病変、もしくは新規な腫瘍濃染の発生もしくは腫瘍サイズ20%以上増加かつFRの定義に当てはまらないもの、と定義している。

 対象となった209例の患者背景は、男性77%、年齢61歳、淡明細胞癌88%、MSKCCリスク分類でFavorableリスクが65%、Intermediateリスクが35%、転移巣数が1個なのが20%、2個が35%、3個が22.5%、4個以上が22.5%。無増悪生存期間(PFS)中央値は1.0年、全生存期間(OS)中央値は2.3年だった。

 CT撮影から治療開始までの日数は11日(0-40日)、治療開始後の最初のCT撮影は28日後(17-68日)で、腫瘍サイズの変化は、全体変化量が−1.04cm(−6.40-4.70)、変化率は−14%(−55%-58%)だった。

 各基準別にPFSを評価した結果、MSLCCリスク分類でFavorableはIntermediateに対してハザード比0.75(95%信頼区間:0.52-1.08、p=0.12)と有意ではなかった。RECIST基準でPRはSDに対してハザード比0.79(同:0.64-1.79、p=0.79)と有意ではなく、SDはPDに対してハザード比35.4(同:12.9-97.2、p<0.001)と有意だった。Choi基準でPRはSDに対してハザード比0.53(同:0.32-0.86、p=0.01)と有意だったが、SDはPDに対してハザード比2.22(同:0.97-5.09、p<0.06)と有意ではなかった。

 MASS基準でFRはIRに対してハザード比0.39(95%信頼区間:0.27-0.57、p<0.0001)、IRはURに対してハザード比20.3(同:7.31-56.3、p<0.0001)と、いずれも有意だった。

 各基準別にOSを評価した結果、FaborableはIntermediateに対してハザード比0.42(95%信頼区間:0.29-0.59、p<0.001)と有意だった。RECIST基準でPRはSDに対してハザード比0.52(同:0.27-1.00、p=0.05)、SDはPDに対してハザード比8.98(同:4.21-19.1、p<0.001)と有意だった。Choi基準でPRはSDに対してハザード比0.53(同:0.33-0.86、p=0.01)と有意だったが、SDに対してPDは有意ではなかった。

 MASS基準でFRはIRに対してハザード比0.39(95%信頼区間:0.27-0.57、p<0.0001)、IRはURに対してハザード比5.43(同:2.50-11.8、p<0.0001)といずれも有意だった。

 MSKCCリスク分類とMASS基準を組み合わせてOSについて検討した結果、MSKCCリスク分類単独による生存曲線の分離に比べて、MASS基準を組み合わせることでより詳細な生存曲線の分離を行うことができた。

 CT画像評価者の間の評価の違いについては、MASS基準による評価が、RECIST基準やChoi基準に比べて最も違いが少なかった。

 これらの結果からSmith氏は、MSKCCリスク分類のPFS予測能について、有意ではないがMASS基準はRECIST基準やChoi基準に比べてPFSやOSの予測能は高く、MSKCCリスク分類にMASS基準を加えるとOSの予測能の精度を高めることができるとし、スニチニブ治療に伴う血行遮断によるCT画像の変化はMSKCCリスク分類とともに用いることでより高精度にPFS、OSを予測できると締めくくった。