根治的前立腺摘除術(RP)施行後の日本人の前立腺癌患者において、BMIが臨床病理学的特徴と生化学的再発に及ぼす影響がレトロスペクティブに検討され、低体重の患者では術前のPSA値およびPSA density(PSAD)が高く、またBMI高値は生化学的再発率の上昇とは相関しない可能性が示された。2月14日から16日まで米国オーランドで開催された2013 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、秋田大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学講座の成田伸太郎氏が発表した。

 前立腺癌では肥満がRP施行後の進行と相関することが示唆されているが、日本では前立腺癌患者における肥満と手術結果との関連を評価した大規模な試験は行われていない。

 そのため成田氏らは日本人男性を対象として、RP施行後の前立腺癌においてBMIが臨床病理学的特徴と生化学的再発に及ぼす影響をレトロスペクティブに検討した。

 WHOのBMI classification(低体重、正常体重、過体重、肥満)と本検討のBMI四分位数(<22.2、22.2-23.7、23.8-25.5、≧25.6kg/m2)により、患者を4群に分類し、BMIのカテゴリーと臨床病理学的特徴および生化学的再発の相関を統計学的に検討した。生化学的再発は、PSA値が0.2ng/mLを超える場合と定義した。

 対象は、2001年から2009年の間に、4施設で術前補助療法を行わずにRPが施行された前立腺癌患者1257人。WHOのBMI classificationでは、低体重1.4%、正常体重65.4%、過体重30.9%で、肥満は2.4%のみだった。

 低体重、正常体重、過体重、肥満の各群において、平均年齢はそれぞれ69.6歳、66.1歳、65.4歳、66.1歳、術前の平均PSA値はそれぞれ17.0ng/mL、9.8ng/mL、10.0ng/mL、8.8ng/mL、術前のPSADはそれぞれ0.74、0.37、0.37、0.29だった。術前のPSA値とPSADは、他の体重の患者と比べて低体重の患者で有意に高かった(それぞれp=0.0083、p=0.025)。

 一方、Gleasonスコア、病理病期、切除断端陽性、前立腺被膜外浸潤、精嚢浸潤、リンパ節転移といった病理学的特徴には、BMIのカテゴリーによる差はみられなかった。

 追跡期間中央値は49カ月だった。この間に、1257人中230人(18.3%)に生化学的再発が認められた。BMI四分位数によるBMIのカテゴリーでは、生化学的再発率に有意差はなかった(p=0.954)。

 年齢、PSA値、病期、生検によるGleasonスコアを調整すると、BMIと不良な病理学的所見に有意な相関は認められなかった。

 さらに多変量解析のコックス比例ハザードモデルから、BMI高値は生化学的非再発生存率に有意な影響を与えないことが示された。RP後の生化学的再発までの期間の危険因子として、術前ではPSA値と生検によるGleasonスコア、周術期では年齢、PSA値、切除断端陽性、前立腺被膜外浸潤などが有意な因子として抽出されたが、BMIはいずれにおいても抽出されなかった。

 成田氏は今回の結果について、「低体重の患者で術前のPSA値、PASDが高かった点は欧米の報告と一致する。一方、日本では肥満者の割合が低いため、BMI高値が生化学的再発率の上昇と相関しない結果になったと考えられる」と話した。