ハイリスクの限局性前立腺癌に対するアンドロゲン遮断療法(AB)として、36カ月間と18カ月間の治療を比較したフェーズ3のPCS IV試験から、全生存率(OS)と疾患特異的生存率(DSS)に差はなく、安全に18カ月間に短縮できると考えられる結果が示された。2月14日から16日まで米国オーランドで開催されている2013 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、カナダCentre Hospitalier Universitaire de SherbrookeのAbdenour Nabid氏が発表した。

 放射線療法と長期のABはハイリスク前立腺癌に対する標準的治療であるが、ABの最適な期間は定義されていない。

 そのためNabid氏らは、ハイリスクの限局性前立腺癌患者を対象として、ABの期間を評価する、前向き、多施設共同、フェーズ3のランダム化試験を実施した。

 対象は、リンパ節転移陰性のハイリスク(T3-4、N0M0、PSA>20ng/mL、Gleasonスコア>7)、全身状態がZubrod指標で0-1、18-80歳の前立腺癌患者。

 放射線治療(骨盤:44Gyを4週間半かけて照射、前立腺:70Gyを7週間かけて照射)との併用で、AB(放射線療法の施行前、同時併用、施行後)を36カ月間行う群(36カ月群)、または18カ月間行う群(18カ月群)のいずれかに、患者をランダムに割り付けた。放射線療法はABの開始から4カ月後に開始した。ABは、ビカルタミド50mgを1日1回、1カ月間、LH-RHアナログのゴセレリン10.8mgを3カ月毎に投与し、36カ月または18カ月継続した。主要評価項目はOS、DSS、QOLだった。

 2000年10月から2008年1月までに630人がランダム化され、36カ月群310人、18カ月群320人となった。

 患者背景は両群でバランスがとれており、36カ月群と18カ月群において、年齢中央値はともに71歳、PSA中央値はそれぞれ16.4と15.2、Gleasonスコア中央値はともに8だった。

 リスク因子として、T3以上の患者はそれぞれ26.5%と22.8%、PSA>20の患者は45.8%と42.8%、Gleasonスコア>7の患者は59.0%と60.6%で、このうちGleasonスコアが9-10の患者はそれぞれ19.7%と20.3%を占めた。PSA値が上昇するbiochemical failureは36カ月群で19.4%、18カ月群で25.0%、2コース目のABを受けたのはそれぞれ14.2%と18.8%で、いずれも有意差はなかった。骨盤リンパ節転移は、36カ月群1%、18カ月群0.9%、骨転移はそれぞれ8.1%と7.8%に認められた。

 追跡期間中央値は77カ月で、36カ月群の71人(22.9%)、18カ月群の76人(23.8%)が死亡した(p=0.802)。前立腺癌による死亡はそれぞれ15人(4.8%)と16人(5%)で、116人はその他の死因によるものだった。

 OSは、36カ月群と18カ月群において、5年時はそれぞれ92.1%(95%信頼区間:89.1-95.1)と86.8%(同:83.0-90.6)、10年時は63.6%(同:55.7-71.5)と63.2%(同:54.7-71.7)となり、いずれも有意差はなかった(それぞれp=0.052、p=0.429)。

 DSSは、36カ月群と18カ月群において、5年時はそれぞれ97.6%(95%信頼区間:95.9-99.4)と96.4%(同:94.2-98.6)、10年時は87.2%(同:81.0-93.3)と87.2%(同:80.9-93.6)で同等だった(それぞれp=0.473、p=0.838)。

 PCS IV試験と過去にEORTCのグループが行った試験(M. Bolla, et al. NEJM 2009;360:2516-2527)を比較すると、追跡期間は同等(6.4年)で、5年時のOSは、PCS IV試験の18カ月群では86.8%、36カ月群では92.1%、EORTCの試験では84.8%だった。

 副作用の発現期間と治療の費用についても、18カ月群で有意な減少が認められた。

 Nabid氏は「18カ月間のABがそれ以上の効果は得られない敷居効果(threshold effect)を表している可能性がある」と話した。同氏によると、QOLに対する治療効果については、12年を超える期間をかけて9638の質問事項に解答を得、現在解析中で、今後発表される予定。