2012 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)が2月4日、盛況のうちに終了した。今年はLate-Breaking Abstract(LBA)は1題だけだったが、重要な発表で、講演終了時には大きな拍手が会場からあふれた。

 初日から2日目の午前中にかけて行われた前立腺癌のセッションの最大のトピックスは、LBAだったMDV3100のフェーズ3試験、AFFIRMの発表だった。ドセタキセルを含む化学療法を受けたが進行した去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者の、全生存期間(OS)の中央値が18.4カ月と、とても良い結果だった。CRPCのドセタキセル治療で進行した患者の治療薬になる可能性が高い。日本ではアステラス製薬がフェーズ1/2試験を進めており、早期の申請、承認を期待したい。

 セッションではドセタキセル→MDV3100の後に、酢酸アビラテロン、Cabazitaxel、ドセタキセルの再投与といった近い将来のCRPC治療の流れが示された。ただし酢酸アビラテロン、Cabazitaxelは海外では承認されているところもあるのに、日本では開発が遅れている。酢酸アビラテロンを開発するヤンセンファーマ、Cabazitaxelを開発するサノフィ・アベンティスに期待したい。

 また、年齢にかかわらず初回のPSA検査の結果は長期的な前立腺癌リスクを予測できることを示した発表も重要だ。PSAスクリーニングが普及した米国と、そうでない日本を含めた国のあるべき姿を示唆しているだろう。

 3日目に行われた腎癌のセッションは、進行腎癌のセカンドラインとしての地位を確立しつつあるアキシチニブのAXIS試験の副次的な解析結果が注目を集めた。米国で承認されたばかりということもあり、最適な使い方のためのデータが出された。他には、ファーストラインであるスニチニブに関する発表が目立った。チロシンキナーゼ阻害剤とmTOR阻害剤をどういう順序で使ったらよいかに関する発表もあった。

 日本人にとって興味深かったのは、S-1に関する発表だ。難治性腎細胞癌へのフェーズ2の結果が発表された。S-1とソラフェニブの併用で開発が進められる予定だが、腎癌分野でのS-1の存在は、他の製剤とはメカニズムが異なることから、選択肢のなくなった患者にとって今後大切な薬剤になるかもしれない。

 2日目午後行われたその他の泌尿器系癌のセッションで注目されたのは、日本で開発され乳癌に対して承認されているエリブリンの発表だ。局所進行または転移性移行上皮癌に対して、標準療法であるゲムシタビンとシスプラチンに加えてエリブリンを投与するフェーズ1b試験ながら、奏効率は89%で完全奏効2人を含んでいた。進行中のフェーズ2試験の結果が今後期待される。

 会期を通して注目されたのは、骨転移の管理だった。転移のないCRPCで骨転移が発生するリスクが高い患者に対し、抗RANKL抗体のdenosumabは無骨転移生存期間(bone metastasis free survival:BMFS)を有意に延長することが示された。また骨転移を有する腎細胞癌(RCC)患者に対し、スニチニブに加えてビスホスホネートを投与するとOS、無増悪生存期間(PFS)などが改善できる可能性が示された。

 標準的な治療の流れができつつある一方で、患者個々の背景、状態を見極め、適切な治療を進める時代が来つつあるようだ。