mTOR阻害剤を投与した転移を有する腎細胞癌(mRCC)患者において、有害事象の間質性肺疾患が発現する頻度はテムシロリムスよりもエベロリムスで多かったことが、単施設のレトロスペクティブな解析から示された。2月2日から4日までサンフランシスコで開催された2012 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、米University of Texas M. D. Anderson Cancer CenterのDiana H. Cauley氏が発表した。

 mTOR阻害剤のエベロリムスとテムシロリムスはmRCCの治療薬としてFDAに承認されているが、有害事象として間質性肺疾患が発現することが知られている。発現頻度の報告にはばらつきがみられる。

 Caultey氏らは、同センターで治療を行ったmRCC患者について、エベロリムスとテムシロリムスに関連する間質性肺疾患の発生率、発生時期、管理、転帰の特徴を明確にするため、レトロスペクティブな検討を行った。

 対象は、2007年6月1日から2010年10月1日までにエベロリムスまたはテムシロリムスが投与されたmRCC患者で、記録が評価可能だった332人。ベースラインの患者背景、臨床検査値、前治療、治療期間、症状、有害事象の管理について評価した。

 間質性肺疾患は、エベロリムスを投与した患者111人中28人(25.2%)、テムシロリムスを投与した患者221人中18人(8.1%)に発現した。間質性肺疾患の発現がみられた両群の治療期間はそれぞれ157.9日と161.5日、間質性肺疾患の発生までの期間は73日と92日、全生存期間(OS)中央値は594日と318日だった。
 
 NCI-CTCAE ver4.0のグレードの中央値は両群で2だった。この疾患で死亡した患者はいなかった。

 間質性肺疾患の症状として、咳嗽、呼吸困難、発熱、疲労感は、エベロリムスを投与した患者ではそれぞれ61%、68%、20%、68%に発現した。テムシロリムスを投与した患者ではそれぞれ72%、61%、6%、89%に発現した。

 間質性肺疾患が発生した患者におけるmTOR阻害剤の投与状況として、中止、同量で継続、減量して継続、延期後に減量して投与、延期後に同量で投与のうち、エベロリムスを投与した患者ではそれぞれ75%、18%、0%、7%、0%だった。テムシロリムスを投与した患者ではそれぞれ39%、28%、5%、17%、11%だった。

 エベロリムスとテムシロリムスを投与し、間質性肺疾患が発生した患者と発生しなかった患者のOSに有意差はみられなかった。

 今回の検討より、Cauley氏は、危険因子を同定するため間質性肺疾患、治療期間、患者背景の関係について検討を進めており、「間質性肺疾患と臨床的な影響について、mTOR阻害剤の臨床試験でプロスペクティブに評価する必要がある」としている。