転移性腎細胞癌に対する抗血管増殖因子(VEGF)治療の有効性や安全性について、アジア人、非アジア人の間で違いはなく、人種によらず適切な減量は、より予後を改善する可能性が示された。2月2日から4日までサンフランシスコで開催された2012 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、カナダUniversity of CalgaryのYing Wang氏が発表した。

 これまでいくつかの報告で、転移性腎細胞癌に対する抗VEGF治療は非アジア人に比べてアジア人でより有害事象が出やすいとされているが、人種間による効果の差について詳細に検討した例はあまりない。

 International mRCC Database Consortiumでは、転移性腎細胞癌に対する抗VEGF治療を行った症例が登録されている。そこで、Wang氏らは、このConsortiumに参加している8施設を対象に、治療期間中の減量に関してデータがある症例について、人種間の効果について解析を行った。アジア人の症例として韓国、シンガポールの施設のデータを解析に用いた。

 今回の解析は、1024例を対象とした。この1024例の追跡期間中央値は29.4カ月だった。

 1024例のうち、非アジア人は560例で、HengのリスクスコアでFavorableは22%、Intermediateは50%、Poorは24%だった。KPSスコア80%未満は27%、貧血例は53%、血小板増加は23%、高Ca血症は11.5%、診断から治療までが1年未満が50%、好中球増加は14%、転移巣が2以上ある症例は70%だった。

 アジア人は464例で、HengリスクスコアでFavorableは13%、Intermediateは69%、Poorは17%だった。KPSスコア80%未満は17%、貧血例は70%、血小板増加は10%、高Ca血症は6.7%、診断から治療までが1年未満が58%、好中球増加は13%、転移巣が2以上ある症例は56%だった。各項目のアジア人と非アジア人の間の差は、腎摘出術歴と好中球増加以外は有意だった。

 解析の結果、薬剤の減量を行ったのは、非アジア人で55%、アジア人で61%で、人種間に有意差は見られなかった(p=0.1197)。しかし、有害事象により治療を中止したのは非アジア人で28%だったのに対しアジア人では21%で、有意にアジア人で少なかった(p=0.0197)

 Hengのリスク分類で調整した後の全生存率はアジア人、非アジア人の間で有意差はなく(ハザード比0.887、95%信頼区間:0.729-1.08、p=0.2322)、無増悪生存率についても有意差は見られなかった(ハザード比1.069、95%信頼区間:0.910-1.256、p=0.4184)。

 一方、治療中に有害事象により用量調節を必要としたグループは、減量を必要としなかったグループと比べて治療期間、生存期間(OS)ともに良好であることが示された。非アジア人において、減量をしなかったグループの治療期間5.0カ月、OSが16.1カ月だったのに対し、減量をしたグループの治療期間は10.6カ月、OSが22.6カ月で、減量したグループで有意に良好だった(治療期間についてp<0.0001、OSについてp=0.0016)。

 アジア人においても、減量をしなかったグループの治療期間5.4カ月、OSが18.7カ月だったのに対し、減量をしたグループの治療期間は8.9カ月、OSが28.0カ月で有意に良好だった(治療期間についてp=0.0028、OSについてp=0.0069)。

 無増悪生存期間(PFS)については、全体を対象とした場合、非アジア人が6.9カ月、アジア人が7.2カ月で、人種間に有意な差はなかった。アジア人において、減量しなかったグループのPFSが5.4カ月だったのに対して減量したグループのPFSは8.9カ月で、有意な差だった。これは非アジア人でも同様で、減量しなかったグループのPFSが5.0カ月だったのに対して、減量したグループのPFSは10.6カ月だった。