チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、サイトカイン療法を受けた経験のある難治性の転移性腎細胞癌に、S-1単剤が有効である可能性が明らかとなった。国内で実施されたフェーズ2試験の結果示されたもの。成果は2月2日から4日にサンフランシスコで開催された2012 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、山形大学教授の冨田善彦氏によって発表された。

 フェーズ2試験は、難治性の転移性腎細胞癌患者を対象に行われた。2006年4月からTKI治療後に進行した6人(ソラフェニブ3人、スニチニブ3人)の患者を含む45人の患者が登録された。年齢中央値は60.0歳(24-79)。肺転移を有する患者が35人(77.8%)、リンパ節転移を有する患者が16人(35.6%)、肝転移を有する患者が10人(22.2%)だった。患者には6週間を1サイクルとして、4週間1日2回40mg/m2のS-1を投与し、2週間休薬した。主要評価項目は奏効率で、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)だった。

 また、冨田氏らは、根治的腎摘出術で得られたホルマリン固定パラフィン包埋標本から逆転写PCR法を用いてmRNAの発現を調べた。

 試験の結果、5サイクル以上の投与を受けることができた患者が24人で、2012年1月時点で2人でS-1の単剤投与が継続されていた。45人の患者のうち、2人(4.4%)で完全奏効(CR)が得られ、9人(20.0%)で部分奏効、28人(62.2%)で病勢安定(SD)が得られた。奏効率は24.4%(95%信頼区間:12.9-39.5)となった。PFS中央値は9.2カ月(95%信頼区間:5.1-17.2)で、OS中央値は42.8カ月(95%信頼区間:33.4-未到達)だった。TKI難治性の患者ではPFS中央値は約2倍の18.0カ月(95%信頼区間:1.2-21.2)となった。

 多く発現したグレード3/4の副作用は、ヘモグロビン減少と倦怠感以外は従来報告されているものと同様だった。

 mRNAの解析の結果、チミジル酸シンターゼの発現レベルと奏効率、PFSには関連があったが、OSについては5-FU関連酵素の発現の高低とは関連がなかった。

日本では現在、ソラフェニブとS-1を併用投与するフェーズ2試験が行われている。