米Texas大学M.D. Anderson癌センターのArlene O. Siefker-Radtke氏らは、ドーズデンス(DD:抗癌剤の用量を変えずに投与間隔を縮める)化学療法を術前に用いてハイリスク尿路上皮癌患者の病理学的な病期改善(down-staging)をめざした前向きフェーズ2試験で、半数以上が目標を達成、3年生存率にも好ましい影響が見られたことを明らかにした。詳細は、成果は2月2日から4日にサンフランシスコで開催された2012 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で発表された。

 MVAC(メトトレキサート、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シスプラチン)療法に比べ、DD-MVACレジメンが、化学療法歴の無い転移性の尿路上皮癌患者の奏効率を高め、3-5年生存率を向上させること、粘膜炎や骨髄抑制は減少することが示されていた。しかし、DD-MVACを術前補助療法に用いた前向き研究はこれまで行われていなかった。

 また、これまでに同氏らは、術前化学療法が適用されるハイリスク患者のうち、血管内皮増殖因子(VEGF)の過剰発現陽性者の再発リスクが高いことを示す結果を得ていた。これに基づいて、VEGFを阻害する薬剤を併用すれば転帰が向上すると考えた。

 ベバシズマブ10mg/kgとDD-MVAC(メトトレキサート30mg/m2、ビンクリスチン3mg/m2、ドキソルビシン30mg/m2、シスプラチン70mg/m2、を当初2日間と、その後2週おきに投与)を併用した術前化学療法の有効性と安全性を評価するフェーズ2を実施した。

 2007年8月から2010年12月まで、60人の尿路上皮癌(膀胱癌または上部尿路癌)患者を登録。組み入れ条件は、以下の条件を1つ以上満たすこと、とした。膀胱癌では、(経尿道的膀胱腫瘍切除術完了後に)麻酔下に直腸診あるいは膣より双手診を行って腫瘍を確認し判定した病期がcT3b/脈管浸潤(LVI)/水腎/micropapillary亜型(リンパ管腔様の空隙で囲まれた微小乳頭状構造を組織学的特徴とする浸潤癌)/憩室癌。上部尿路癌(腎盂癌、尿管癌)の場合は、生検により高悪性度の癌と判定/X線イメージングにより無茎性の腫瘍を検出。

 主要エンドポイントはdown-stagingとし、pT1N0M0以下になった患者の割合を評価した。

 膀胱/尿道癌の患者44人と上部尿路癌患者16人を登録。85%の患者は予定されていた4サイクルの治療を完了しており、このレジメンの忍容性が示された。

 ベースラインの病期はT1N0M0が4人(9%)、T2N0M0が13人(30%)、T3b-4aN0M0が27人(61%)で、T1とT2の患者の腫瘍は全てハイリスクと見なされる特徴を持っていた。

 down-stagingにより手術時にpT1N0M0以下になっていた患者は全体の53%(膀胱/尿道癌患者の45%、上部尿路癌患者の75%)で、pT0N0M0以下になった患者も38%(膀胱/尿道癌患者の39%、上部尿路癌患者の38%)存在した。

 追跡期間の中央値が26カ月の時点で推定した2年全生存率(OS)は78%、2年疾患特異的生存率(DSS)は82%だった。3年OSは全体では63%で、膀胱/尿道癌患者が52%、上部尿路癌患者は93%、3年DSSは全体では64%、膀胱/尿道癌患者が54%、上部尿路癌患者では93%になった。

 pT1N0M0以下へのdown-stagingは生存(OSとDSS)に大きな影響を与えていた。術前補助療法により手術時にT0-T2N0になっていた患者の3年OSは97%、DSSも97%で、T3b-T4aN0だったグループはそれぞれ66%と83%だったが、術前補助療法を受けても手術時にT4bN+またはM+と判定された患者は24%、24%と低かった。

 組織学的に異なる腫瘍を持つ患者の生存率に有意な差は見られなかった。ただし、micropapillary亜型に分類された患者の3年DSSが56%という数字は、これまでに行われた研究の結果に比べ好ましい値だった。

 最も多く見られたグレード3以上の有害事象は好中球減少症または発熱性好中球減少症で、27%の患者がこれを経験した。続いて12%の患者が疲労感を訴えた。10%未満の患者が経験した有害事象は高血圧、貧血、深部静脈血栓症/肺塞栓症、悪心/嘔吐など。粘膜炎は3%と少なかった。

 得られた結果は、従来から用いられているMVACの代わりに、DD-MVACを術前補助療法に適用できることを示した。DD化学療法は、分子標的薬を追加できる、有害事象が少ない、手術までの時間を短縮できるなどの利点を持つため、術前補助療法への適用を考慮すべきではないかとSiefker-Radtke氏は述べている。なお、ベバシズマブ追加の影響については今後長期的な追跡を行って評価する必要がある。