アデノウイルス製剤CG0070のフェーズ1/2試験から、強力な前治療を行った表在性膀胱癌患者においても忍容性は良好で、複数回投与と完全奏効(CR)率の高さが関係すると考えられる結果が示された。2月2日から4日までサンフランシスコで開催されている2012 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、米University of CaliforniaのTerence W. Friedlander氏が発表した。

 膀胱癌では網膜芽細胞腫(Rb)癌抑制遺伝子が消失していることが多く、その結果、転写因子E2F1のアップレギュレーションが誘導され、腫瘍が増殖する。

 CG0070は、癌細胞の内部で増殖し、これを破壊するよう遺伝子操作を加えたアデノウイルス製剤で、ヒトE2F1プロモータのコントロール下で顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を発現する。
 
 Friedlander氏らは、BCG膀胱内注入療法を1回以上施行した後に再発した表在性膀胱癌(Tis、Ta、T1)患者を対象として、非盲検のフェーズ1/2試験を実施し、GC0070を膀胱内投与し、安全性と有効性を評価した。

 試験は3+3デザインとし、単回投与、週1回の投与を計6回、4週毎の投与を計3回、4週毎の投与を計6回、のいずれかの方法でGC0070を投与した。用量レベル(ウイルス粒子数)は、単回投与では1×1012から3×1013、複数回投与では1回の投与につき1×1012から1×1013とした。
 
 病理学的CRは、膀胱鏡検査、生検、尿の細胞診で評価し、腫瘍のRb癌抑制遺伝子の状態は免疫組織化学検査で評価した。

 計35人(年齢中央値68.5歳、男性28人)が試験治療を受け、前治療で経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)、BCG膀胱内注入療法と膀胱内注入化学療法を受けた回数は、中央値でそれぞれ4回、2回、1回だった。

 3カ月時にCRが得られたのは、全対象では17人(48.6%)だった。単回投与を行った13人中3人(23.1%)、週1回の投与を計6回行った9人中7人(77.7%)、4週毎に3回または6回の投与を行った13人中7人(53.8%)だった。CRの持続期間(中央値)はそれぞれ8.5カ月、未到達、15.3カ月だった。

 用量別では、1回の投与につき1×1012のウイルス粒子数でCR率が高く(61.5%)、次いで1×1013(50.0%)だった。
 
 Rb癌抑制遺伝子の状態別では、不活性化がボーダーライン上だった腫瘍でCR率が高く(100%)、次いで不活性化が高い腫瘍(63.6%)だった。

 用量制限毒性(DLT)として、4週毎に3回投与した1人にグレード3のリンパ球減少が観察された。投与スケジュールに関わらず多く発現した有害事象(全グレード)は、流行性感冒様の疾患(11.4%)、排尿障害(48.6%)、血尿(25.7%)、膀胱痙攣(17.1%)、頻尿(31.4%)などだった。
 
 今回の試験では、全例でウイルスゲノムと尿中のGM-CSFが検出されたことから、in vivoでウイルスが複製されていることも示唆された。