前立腺特異抗原PSA)を測定する前立腺癌スクリーニングの意義については議論が続いている。一般男性において、初めて測定されたPSA値がそれ以降の前立腺癌罹患とこれによる死亡の予測に役立つかどうかを調べたデンマークCopenhagen大学のDavid D Orsted氏らは、初回測定値が1ng/mL以下だった男性を参照とすると、それ以上の値だった人々の前立腺癌罹患リスクは、PSA値が高くなるにつれて3倍から57倍に上昇することを明らかにした。2月2日から4日までサンフランシスコで開催されている2012 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で発表された。

 米予防医療専門委員会(USPSTF)は2011年10月、それまでに行われた5件の大規模臨床試験の結果を分析した結果、年齢や人種、家族歴にかかわらずPSA検査が死亡率を下げることを示すエビデンスは見いだせず、逆に有害事象に関連する可能性があるとし、すべての年齢の男性に対してPSA検査は勧められないとする勧告案を公表した。

 これに対し演者らは、初回のPSA値のみでも、前立腺癌罹患と前立腺癌死亡のリスクが高い患者を同定できることを示唆した。

 分析対象となったのは、Copenhagen city Heart Studyに登録され2009年まで追跡されたデンマークの一般男性4383人だ。ベースラインの年齢は20から94歳で、PSA値は、1981から83年に採取された血漿標本を用いて2010年に測定した。

 中央値18年(0.5-28年)の追跡で170人が前立腺癌と診断され、94人が前立腺癌で死亡していた。

 PSA値に基づいて男性を6群に分類し、0.1-1.00ng/mLだった人々を参照群にして前立腺癌罹患のハザード比を求めた。PSA値1.01-2.00ng/mLのグループではハザード比は3.0(95%信頼区間1.9-4.6)、2.01-3.00ng/mL群では6.8(4.2-11)、3.01-4.00ng/mL群は 6.6(3.4-13)、4.01-10.00ng/mL群は16(10.4-25)、10ng/mL超のグループでは57(32-104)になった(傾向性のp=1x10-60)。

 同様に前立腺癌死亡のハザード比はそれぞれ、2.2(1.3-3.9)、5.1(2.8-9.0)、4.2(1.8-10)、7.0(3.8-14)、14(6.0-32)となった。

 次に、10年間の前立腺癌罹患の絶対リスクを求めた。参照群の45歳未満の男性では0.6%、45-49歳は0.7%、50-54歳は1.1%、55-59歳は1.2%、60-64歳は1.3%、65-69歳は1.1%、70-74歳は1.3%、75歳以上は1.5%で、年齢が上昇しても増加はわずかだった。一方、PSA値が 10ng/mL超の男性の10年絶対リスクを推定すると、それぞれ35%、41%、63%、71%、77%、69%、75%、88%と非常に高い値になった。

 今回得られた結果は、健康な男性に対するPSA検査の適用に関するガイドラインを見直す際に役立つと考えられる。また、Orsted氏らは、年齢にかかわらず初めて受けたPSA検査の結果に基づくPSAスクリーニングスケジュールを以下のように提案した。初回検査でPSA値が4ng/mL超だった男性には引き続き詳細な検査を行う /。2-4ng/mL群には2年から4年間隔でPSA検査を行う 。 2ng/mL以下の男性については、年齢が65歳未満であれば10年ごとにPSA検査を行い、65歳以上ならさらなる検査はなしとする。