転移のない原発性前立腺癌患者に対する強度変調放射線照射(IMRT)は、旧来の原体照射法(CRT)と比較して、合併症の発生が少なく、放射線治療後に追加治療を必要とする割合が低く、良好なコントロールが可能と考えられる。2月2日から4日までサンフランシスコで開催されている2012 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、米University of North Carolina HospitalsのNathan Christopher Sheets氏が発表した。

 前立腺癌に対する放射線治療では、IMRTや陽子線治療(PT)など、毒性プロファイルが改善され、かつ線量の増加が可能な新しい治療法が急速に導入されている。IMRTの使用は、2000年の0.15%から、2008年には95.9%まで急速に増加している。ただし、これらの治療法と従来の治療法の有効性を比較した報告は限られ、早急に検討する必要が指摘されている。

 Sheets氏らは、原発性前立腺癌に対するIMRT、PT、CRTについて、合併症の発生率と病勢コントロールを比較した。
 
 Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)-Medicareのデータベースから、2002年以降に原発性前立腺癌と診断された患者について検討した。患者背景、合併症、施設の特性などのバランスをとるため、傾向スコアを用いた補正法を使用した。合併症(腸疾患、失禁を伴うまたは伴わない尿路疾患、勃起障害、股関節骨折)と放射線治療後に追加治療が必要となった患者の割合を算出した。
 
 IMRTとCRTの比較では、2002〜2006年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象とした。IMRTで治療した患者(6666人)はCRTで治療した患者(6310人)と比較して、腸疾患(100人年あたり13.4対14.7、p<0.001)と股関節骨折(同0.8対1.0、p=0.006)の発生が少なかった。一方、勃起障害の発生(同5.9対5.3、p=0.006)はIMRTで多かった。尿路疾患に差はなかった。
 
 癌に対する追加治療が必要となった割合は、IMRTで治療した患者はCRTで治療した患者と比較して低かった(100人年あたり2.5対3.1、p<0.001)。
 
 PTとIMRTの比較では、2002〜2007年に診断を受け、転移はなく、初期治療が放射線治療だった患者を対象とした。PTで治療した患者(684人)はIMRTで治療した患者(684人)と比較して、腸疾患の発生が多かった(100人年あたり17.8対12.2、p<0.001)。その他の合併症の発生、癌に対する追加治療の割合に有意差はなかった。
 
 CRTと比較してIMRTで追加治療を必要とした割合が低かった理由の一つとして、Sheets氏は線量の増加を挙げた。同氏は「今回の結果は、前立腺癌に対する現在の標準的な放射線療法としてIMRTを使用することを裏付けるもの。ただし、IMRTとPTの有効性を比較する無作為化臨床試験が必要」と話した。