切除不能な原発性腎細胞癌(RCC)に対し、スニチニブによるネオアジュバント療法を施行後に切除可能となった患者では、原発腫瘍の大きさ、陰影の希薄化、R.E.N.A.L. nephrometryスコアと切除可能性の複雑度などが有意に改善していたことが、フェーズ2試験から示された。さらに同試験では、治療前に腫瘍辺縁が明瞭なことと、スニチニブを2サイクル投与後のMASS(Morphology, Attenuation, Size, and Structure)基準でfavorableであることが、切除可能性の独立した予測因子であった。2月17日から19日にかけて米国オーランドで開催された2011 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、米国Cleveland ClinicのMohamed E. Salem氏が発表した。

 Salem氏らは前向きのフェーズ2試験で、スニチニブによるネオアジュバント療法を行い切除不能から切除可能となったRCCについて、治療前後の造影CT(CE-CT)のパラメータの特徴を検討した。さらに、腎摘除術が可能となった患者(切除群)と不能だった患者(非切除群)のCE-CTも比較した。

 対象は切除不能な原発性RCC患者29人で、転移の有無は問わないこととした。スニチニブは50mg/日を投与した。CE-CTの撮影は、治療前、2サイクルの治療後(12週後)、腎摘除術施行前に行った。

 CE-CTで評価するパラメータは、原発腫瘍の大きさ、Hounsfield unit(HU)で示される陰影の希薄化、壊死部の割合などとした。

 さらに、腫瘍の最大径や内向発育などから、解剖学的な特徴や切除可能性の複雑度を分類するR.E.N.A.L. nephrometryスコアも用いた。このスコアでは、切除可能性の複雑度がlow、moderate、highの3段階で示される。

 放射線学的な奏効は、RECIST基準とMASS基準で評価した。MASS基準では、腫瘍の大きさや構造、陰影の増強などから、奏効がfavorable、intermediate、unfavorableの3段階で示される。

 対象中、13人が切除群、16人が非切除群となった。切除群において、治療前とスニチニブによる治療後で腎摘除術施行前のCTの変化をみると、87%の腫瘍で縮小がみられ、長径で27%、2.4cm(ともに中央値)短縮していた(p<0.001)。また87%の腫瘍で29.8%の陰影の希薄化がみられ、HUは28(中央値)減少した(p<0.001)。75%の腫瘍では壊死が増加していた(p<0.001)。

 さらに、53%の腫瘍でR.E.N.A.L. nephrometryスコアの減少を認めた(p=0.008)。治療前に切除可能性の複雑度が「highly complex」となったのは81%だったが、治療後は47%に低下した(p=0.008)。腎門への腫瘍の隣接は、治療前の77%から、治療後は61%に減少した(p=0.12)。

 スニチニブによる治療後で腎摘除術施行前の奏効は、RECIST基準では部分奏効(PR)38%、安定状態(SD)56%だった。MASS基準では、favorableが44%、intermediateが56%となった。

 切除群と非切除群について、スニチニブで2サイクル治療した後の奏効を比較すると、RECIST基準ではPRは25%と19%、SDは69%と81%で、両群に有意差はなかった(p=0.52)。しかし、MASS基準では有意差がみられ、切除群と非切除群でfavorableは81%と27%、intermediateは19%と61%であった(p=0.008)。

 さらにSalem氏は同試験の多変量解析から、MASS基準でfavorableであることと、治療前に腫瘍辺縁が明瞭なことが、独立した予測因子として示されたことも明らかにした。