転移性の膀胱尿路上皮癌患者にシスプラチンを含む化学療法を考慮する際、適格基準の判断において「不適格」とする定義は一貫していない。今回、システマティックレビュー、泌尿生殖器の臨床腫瘍医への調査を経て、パネルのコンセンサスによる簡潔な定義が提唱された。2月17日から19日にかけて米国オーランドで開催された2011 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、米国Tisch Cancer Institutes、Mount Sinai Medical CenterのM. D. Galsky氏が発表した。

 シスプラチンベースの化学療法は、転移性の膀胱尿路上皮癌患者の標準的なファーストライン治療である。しかし、患者の多くは腎機能障害や共存症などのため、シスプラチンに「不適格」と判断され、臨床試験では適格基準から除外されてしまう。

 実際に「不適格」とされる患者は多い。全患者の28%はクレアチニンクリアランスの値が60mL/分未満で、70歳を超える患者ではこの割合が40%に上る。

 Galsky氏らは、シスプラチンに「不適格」と定義される患者の中には多数の変数が存在すると仮定し、一貫した定義にすれば一貫した臨床試験を行うことが可能になり、承認に向けた現実的な戦略の開発につながると考えた。

 そこでGalsky氏らは、泌尿生殖器の臨床腫瘍医によるパネルを招集し、3段階の手法をとった。文献のシステマティックレビュー、泌尿生殖器の臨床医への調査、「不適格」についてコンセンサスによる定義を開発することである。

 文献のシステマティックレビューでは、PubMedやASCOの抄録などから「尿路上皮癌」「膀胱癌」「シスプラチンに不適格」などの用語を検索した。抽出された236件の関連文献から、最終的に、転移性膀胱癌で「不適格」な患者が含まれる前向き試験に関する14件の文献を解析した。

 臨床医への調査では、5カ国の大学病院または地域で診療を行う医師120人中、65人(54%)から回答を得た。

 腎機能の閾値に対する回答としては「クレアチニンクリアランスが60mL/分未満」が、測定方法は「クレアチニンクリアランスの算定」が最も多く、それぞれ42%と48%であった。

 年齢に関する閾値については「なし」とする答えが82%を占めた。ECOG PSの閾値は「2を超える」が最多で42%であった。

 共存症として含めるべきという回答が得られたのは、「心不全」と「聴力低下」がそれぞれ42%と46%となった。「片腎」は22%、「末梢神経障害」は20%だった。

 これらの結果からGalsky氏らは、「臨床試験の適格基準に“不適格”となる患者は、以下の項目を一つでも満たす場合」と提唱した。

(1)ECOG PSが2
(2)クレアチニンクリアランスの値が60mL/分未満
(3)CTCAE v4 Gradeの2またはそれ以上に該当する聴力低下
(4)CTCAE v4 Gradeの2またはそれ以上に該当する末梢神経障害
(5)ニューヨーク心臓協会(NHYA)の重症度分類でクラスIII(中等度)に該当する心不全