ネオアジュバント化学療法を行わずに初回の根治的膀胱摘除術を施行する筋層浸潤性膀胱尿路上皮癌患者について、「ハイリスクではない」とする選択基準を設定した場合、5年の疾患特異的生存率(disease specific survival:DSS)は83%となることが、レトロスペクティブな検討から示された。2月17日から19日にかけて米国オーランドで開催された2011 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU)で、米国University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのRian. J. Dickstein氏が発表した。

 筋層浸潤性膀胱尿路上皮癌患者では、根治的膀胱摘除術の施行前にネオアジュバント化学療法を行った場合、特にT3、T4の腫瘍やリンパ節転移陽性の患者で有用性が高い。

 しかし、筋層浸潤性膀胱尿路上皮癌患者では臨床病期が過小評価されることが大きな問題であるとDickstein氏は指摘する。

 Dickstein氏らはレトロスペクティブな検討において、以下の条件を満たす患者を「ハイリスクではない」と分類。条件とは、リンパ管や静脈の侵襲がない、水腎水尿管症がない、触知可能な腫瘍や画像で可視の腫瘍がない、扁平上皮癌など組織学的な変種がない、ネオアジュバント化学療法を行わない、である。この「ハイリスクではない」に分類され、ネオアジュバント化学療法を行わずに根治的膀胱摘除術を施行した患者の転帰を報告した。

 2000〜2008年に根治的膀胱摘除術が施行された患者858人中、174人が筋層浸潤性膀胱尿路上皮癌(cT2)で、「ハイリスクではない」に分類され、ネオアジュバント化学療法を行わずに根治的膀胱摘除術を施行した患者だった。

 評価項目は、病理学的病期の上昇(pT3以上)、病理学的にリンパ節陽性、アジュバントまたはサルベージの化学療法の必要性、再発、DSS(disease-specific survival rate :疾患特異的生存率)などとした。

 174人中、155人(88.6%)が男性で、年齢中央値は67.6歳であった。根治的膀胱摘除術で75人(42.9%)に病理学的な病期の上昇を認めた。内訳は、pT3N0が45人(25.9%)、pT4N0が6人(3.4%)、pTxN+が24人(13.8%)であった。

 この病理学的所見から、13人(7.4%)がアジュバント化学療法を受けた。

 長期転帰をみると、27カ月後(中央値)に38人(21.7%)に再発を認め、骨盤内再発は4人(2.3%)、遠隔転移は34人(19.5%)で、うち2人(1.1%)に両方の転移を認めた。18人は再発のためのサルベージ化学療法を受けた。

 全体では死亡は25人(14.3%)で、5年のDSSは82.3%に上った。