カナダTom Baker Cancer CenterのDaniel Y. C. Heng氏

 転移性の腎細胞癌(RCC)に対し血管内皮細胞成長因子VEGF)を標的とする血管新生阻害剤で治療する場合、無増悪生存期間(PFS)は全生存期間(OS)を予測する因子であり、両者の間には統計学的に有意な関連性があることが明らかになった。成果は、3月5日から7日まで米サンフランシスコで開催された2010 Genitourinary Cancers SymposiumASCO GU2010)で、カナダTom Baker Cancer CenterのDaniel Y. C. Heng氏(写真)が発表した。

 腎細胞癌を対象としたVEGFを標的とする血管新生阻害剤の効果を検討する臨床試験の多くで、PFSが主要評価項目として用いられている。Heng氏らは、PFSが全生存期間(OS)の予測因子となるのか、そしてPFSとOSの間に関連性があるのかを検討した。

 今回の検討には、カナダ、米国、シンガポールの計10施設の973人(年齢中央値60歳、男性比74%)の患者を対象とした。患者は組織学的に確認された転移性のRCCがあり、スニチニブ、ソラフェニブ、ベバシズマブのいずれかによる治療を受けていることとし、免疫療法の治療歴も可とした。

 PFSは薬剤の投与開始から進行・投与の中止・死亡・最後のフォローアップが確認された日までの期間とし、OSは薬剤の投与開始から死亡、または最後のフォローアップが確認された日までの期間とした。

 薬剤の投与開始から3カ月と6カ月の時点で進行について目標解析を行い、リードタイムのバイアスを最小限にした。比例ハザードモデルを使用してOSの予測におけるPFSを評価した。

 フォローアップ期間の中央値は28カ月、karnofsky performance status(KPS)の中央値は80%だった。

 患者の35%に免疫療法の治療歴があり、82%は腎摘除術を受けていた。また患者の77%に1カ所以上の転移があり、7.5%には脳転移が認められた。米メモリアルスローン癌センター(MSKCC)が作成したリスク分類では、favorable risk群は9%、intermediaterisk群は74%、poor risk群は17%だった。

 スニチニブ、ソラフェニブ、ベバシズマブが投与された割合は、それぞれ61%、31%、8%だった。

 コホート全体のPFS、OSの中央値はそれぞれ7.82カ月と21.0カ月だった。目標解析では、3カ月の時点で進行を認めた患者のOSの中央値は10.8カ月、進行を認めなかった患者では21.8カ月となった(p<0.0001)。同様に6カ月の時点のOSの中央値は、それぞれ15.0カ月と33.1カ月となった(p<0.0001)。

 血小板減少症や好中球減少症などの予後不良となる因子を調整した後の目標解析の死亡に対するハザード比は、3カ月の時点で3.05(95%信頼区間;2.34-3.96)、6カ月の時点で3.14(95%信頼区間;2.44-4.06)となった。目標解析の9カ月、12カ月でも同様の結果だった。

 さらに、PFSとOSについて、ケンドールの順位相関係数(Kendall Tau)では0.564(p<0.0001)で、PFSとOSの間に統計学的に有意な関連性があることが示唆された。今回の結果が前向きに検証されれば、OSに対する重要な中間の評価項目を提供することになると考えられる。