スペインHospital Universitario Foundacion Alcorconの J. Garcia. Donas氏

 スニチニブの有効性と有害事象を予測する遺伝学的マーカーの検討で、2つの遺伝子多型において転帰との有意な相関が認められ、VEGF一塩基多型(SNP)-Aのキャリアでは高用量でベネフィットが得られる可能性が示唆された。成果は、3月5日から7日まで米サンフランシスコで開催された2010 Genitourinary Cancers SymposiumASCO GU2010)で、スペインHospital Universitario Foundacion Alcorconの J. Garcia. Donas氏(写真)が発表した。

 スニチニブは腎細胞癌(RCC)の標準的なファーストライン治療になりつつあるが、有効性と有害事象を分子レベルで予測する因子についてはほとんど知られておらず、そうした知見が得られれば薬物治療の最適化に役立つと考えられる。Donas氏らは、薬物動態と薬理学的経路に焦点を当て、スニチニブの奏効と有害事象の遺伝学的マーカーを同定することを目的として、スペインのSpanish Oncology Genitourinary Group(SOGUG)15施設による前向き試験を実施している。

 対象はスニチニブで治療中のRCC患者で、現在100人を目標に登録を続けており、今回は臨床および遺伝子型のデータが入手可能だった44人(年齢中央値65歳、男女比81%対19%)の中間解析の結果が報告された。

 本試験の適格基準には、局所進行性または転移性の腎淡明細胞癌で、スニチニブが1日1回投与されていること、免疫療法を含む全身治療を受けていないことなどが含まれている。

 患者の血液からDNAを採取し、スニチニブの薬物動態と薬理学に関与する8個の遺伝子として、薬物動態はシトクローム(CYP)3A4とCYP3A5、ヒトABCトランスポーターの P-糖蛋白質(ABCB1)とBCRP(ABCG2)、薬理学経路は血管内皮細胞成長因子(VEGF)、血管内皮細胞成長因子受容体(VEGFR)2、3、血小板由来成長因子受容体(PDGFRa)の15の重要な多型について、有効性と有害事象のデータを用いて遺伝子型と表現型の解析を実施した。

 スニチニブを減量していない患者では、無増悪期間(TTP)の不良は、ECOG PSが2であること、組織学的所見で100%の腎淡明細胞癌ではないことと、それぞれ有意に相関した(p=0.002、p=0.008)。スニチニブの減量、ECOG PS、組織学的所見を調整した後は、 VEGF SNP-AがTTP不良と有意に相関した(p=0.045)。

 Karnofsky performance statusやヘモグロビン値など、メモリアルスローンケタリング癌センター(MSKCC)が規定するリスク分類の因子も、TTPと相関する傾向がみられた。

 15の多型のうち、TTP不良と有意に相関したのは、 VEGF SNP-Aの変異型/変異型、ABCG2 SNP Bの野生型/変異型の2つだった(p=0.009、p=0.021)。

 VEGF SNP-Aは、スニチニブの減量およびグレード3以上の有害事象とも有意に相関し(p=0.009)、グレード3以上の有害事象のハザード比は0.24で、他の遺伝子と比べて有意に低かった(p=0.04)。

 これらの結果から、VEGF SNP-Aのキャリアはスニチニブの奏効が不良で、毒性のリスクは低いと考えられるため、高用量の投与でベネフィットが得られる可能性が示唆された。

 Donas氏は「本試験の目標である100人の対象でこの結果を確認したら、前向き試験でさらに検証を進めたい」と話した。