近畿大学医学部泌尿器科学教授の植村天受氏

 ヒト血管内皮成長因子受容体(VEGFR)由来のペプチドワクチンが治療抵抗性の転移性腎細胞癌患者に有効である可能性が報告された。フェーズ1/2試験で1部の患者で細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導され、抗腫瘍効果も認められた。成果は3月5日から7日まで米サンフランシスコで開催された2010 Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU2010)で、近畿大学医学部泌尿器科学教授の植村天受氏(写真)が発表した。

 フェーズ1/2試験には、インターフェロン、インターロイキン2、チロシンキナーゼ阻害剤に難治性の転移性腎細胞癌患者でHLA-A0201陽性の9人とHLA-A2402陽性の10人の患者が登録された。HLA-2402陽性の患者の1人が試験参加を辞退したため、18人の患者で行われた。ワクチンは、VEGFR由来でHLA-A0204拘束性の9アミノ酸からなるVEGFR1-770(TLFWLLLTL)とHLA-A2402拘束性の9アミノ酸からなるVEGFR1-1084(SYGVLLWEI)が使用された。TLFWLLLTL群とSYGVLLWEI群それぞれで、0.5mg(3人)、1mg(3人)、3mg(3人)のワクチンを1日目、8日目、15日目、22日目に接種した。

 試験の結果、18人中12人でペプチド特異性CTLの誘導が確認され、DTH(Delayed Type Hypersensitivity) 反応が6人の患者で認められた。また、抗腫瘍効果は、肺とリンパ節転移を起こした患者1人で部分奏効(PR)が得られ、5カ月以上の安定状態(SD)が9人で認められた。観察期間中央値13.5カ月で8人の患者が亡くなったが、10人は生存している。

 有害事象はグレード1の注射部位反応が7人、発熱が1人、倦怠感が1人、頭痛が1人、発疹が2人でグレード2以上のものはなかった。