陰茎の局所進行・転移性扁平上皮癌の治療では、ファーストラインまたはセカンドラインの治療としてセツキシマブをベースにした治療が行われた患者で全生存期間(OS)が延長する傾向がみられ、EGFRの標的治療の忍容性はきわめて良好であることが、小規模コホートのレトロスペクティブな解析の結果から示された。成果は、3月5日から7日まで米サンフランシスコで開催された2010 Genitourinary Cancers SymposiumASCO GU2010)で、米University of Texas M. D. Anderson Cancer CenterのBradley Carthon氏が発表した。

 陰茎の扁平上皮癌は稀な疾患だが、リンパ節に転移すると予後は急激に悪化する。2009年に米国で陰茎癌を発症した1300人中、300人が死亡している。陰茎癌の発生には、包茎のほか、ヒトパピローマウイルス感染の関与も指摘されている。

 陰茎の局所進行・転移性扁平上皮癌に対する化学療法の奏効率は55%程度で、完全な治癒を目指すための新たな治療アプローチが期待される。

 上皮成長因子受容体(EGFR)の発現は頭頸部の扁平上皮癌で多いことから、この発現に基づいた治療法が開発されている。EGFRの発現は、陰茎の扁平上皮癌でも原発腫瘍・転移巣ともに多いことから、Carthon氏らは、同センターで2004〜2006年にEGFRの標的治療を行った陰茎の局所進行・転移性扁平上皮癌患者をレトロスペクティブに解析した。

 対象期間に免疫組織化学的にEGFRを解析した13人の患者は、白金系抗癌剤をベースにした化学療法および外科的切除とリンパ節郭清を行っていた。

 Carthon氏らはEGFRの発現レベルを免疫組織化学的に評価し、無増悪期間(TTP)とOSの中央値はEGFRの標的治療の開始から算出した。

 13人全員にEGFRの発現が認められ、77%は強陽性または「+3」の発現レベルだった。13人のTTPの中央値は3.2カ月(範囲;0.37〜37.3)、OSの中央値は9.8カ月(範囲;0.5〜48.3カ月)だった。

 EGFRの標的治療としてエルロチニブ単剤が投与されたのは1人、セツキシマブ単剤が投与されたのは2人、セツキシマブと白金系抗癌剤の化学療法を併用したのは10人だった。

 ファーストラインまたはセカンドラインの治療として、抗EGFR抗体製剤のセツキシマブをベースにした治療が行われた患者では、TTPの中央値は3.57カ月(範囲;1.9〜37.3)だったが、OSの中央値は11.87カ月(範囲;2.87〜48.3)で、過去の報告と比べて良好な結果であった。

 EGFR阻害剤単剤投与、または細胞傷害性薬剤による化学療法との併用投与の忍容性は極めて良好であり、最も多かった有害事象はグレード1〜2の発疹であった。

 Carthon氏は「今回のレトロスペクティブな検討の結果を踏まえ、このような癌に対するEGFRの標的治療について、今後試験で検証する必要があると考える」としている。