米Duke University Medical CenterのA.J. Armstrong氏

 乳酸脱水素酵素LDH)が転移性腎細胞癌の治療薬でmTOR阻害剤のテムシロリムスの効果予測バイオマーカーとして有用である可能性が報告された。投薬前にLDHが高かった患者ではインターフェロンα(IFNα)投薬群に比べて、テムシロリムス投薬群で生存期間の延長効果が確認された。成果は3月5日から7日まで米サンフランシスコで開催された2010 Genitourinary Cancers SymposiumASCO GU2010)で米Duke University Medical CenterのA.J. Armstrong氏(写真)によって発表された。

 LDHは、腎細胞癌を含む複数の癌種患者の血清中でしばしば上昇していることが明らかとなっている代謝酵素。PI3キナーゼ/AKT/mTOR経路によって制御されており、腫瘍の低酸素状態/細胞死に関連するとされている。

 研究グループは、MSKCCリスク分類のpoor riskの腎細胞癌患者で、テムシロリムス(毎週25mgを静注、203人)またはインターフェロンα(IFNα、週3回18MUまで増量し皮下注、201人)を投薬した国際的なフェーズ3試験の参加者の投薬前の血清中の全LDH量と治療効果の関連を調べた。

 フェーズ3試験全体としては、全生存期間中央値がテムシロリムス群が10.56カ月、IFNα群が7.14カ月で、テムシロリムス群の方が全生存期間が有意に長かった。

 被験者全体を血清中LDH量の値が正常上限値(ULN)の1倍未満と以下で比較すると、全生存期間中央値は1倍未満群で11.15カ月だったのに対して、1以上群は5.63カ月で、LDHがULNの1以上の患者とULNの1未満の患者に対する死亡のハザード比は1.97(95%信頼区間;1.54-2.47、p<0.0001)で、LDHが高いことは統計学的に有意に予後が悪いことが示された。

 投薬前にLDHが正常範囲だった140人の患者では、全生存期間中央値はテムシロリムス群が11.74カ月、IFNα群が10.36カ月で統計学的に有意な差はなかった(p=0.5138)。しかし投薬の前にLDHが正常範囲よりも高かった264人の患者では、OS中央値はテムシロリムス群が6.88カ月、IFNα群が4.18カ月で、ハザード比0.56、p=0.0017で統計学的に有意な改善が認められた。