米Mayo ClinicのM.K. Tollefson氏

 進行性前立腺癌に対する抗細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTL)-4完全ヒト抗体製剤のipilimumabの単回投与は、アンドロゲンアブレーション(AA)との相乗作用が期待でき、忍容性も高いことが、フェーズ2試験の結果から示された。成果は、3月5日から7日まで米サンフランシスコで開催された2010 Genitoirinary Cancers SymposiumASCO GU2010)で、米Mayo ClinicのM.K.Tollefson氏(写真)が発表した。

 アンドロゲンアブレーション(AA)は主に緩和療法として用いられてきた治療で、前立腺の炎症を誘導し、全身のT細胞の活性化を増強する。

 一方、CTLA-4はT細胞の表面に発現し、T細胞の活性を抑制することで自己免疫機能を抑える。CTL-4完全ヒト抗体製剤のipilimumabは、CTLA-4の機能を抑制するよう開発されている。

 進行性前立腺癌の治療として、CTLA-4を遮断してT細胞の活性を増強することで相乗作用が得られる可能性があるため、Tollefson氏らはAAとipilimumabの投与を行うフェーズ2試験を実施した。

 試験期間は2005年6月〜2009年4月。12カ月以内に内分泌療法を受けていない、進行性または転移性の前立腺の腺癌患者を、AAとipilimumabを3mg/kgで7日目に単回投与する群と、AAのみを行う群に、無作為に53人ずつ割り付けた。進行の状況により、AAのみを行う群の患者はAAとipilimumabを投与する群へのクロスオーバー可とした。PSAとテストステロンの値は毎月測定した。

 本試験の主要評価項目は、安全性と、PSAおよび臨床的な奏効で評価した初期の有効性とした。

 テストステロン値の低下は両群で97%を超えた。一方、PSA値の低下は、AAとipilimumabの投与を行った群で多くみられ、3カ月までに検出できなくなった患者もいたが、有意差は得られなかった。

 RECIST基準で安定状態、部分奏効、完全奏効の割合をみると、AAとipilimumabの投与を行った群ではそれぞれ9.3%、25.9%、13.0%だった。AAのみを行った後でクロスオーバーし33人ではそれぞれ12.1%、18.1%、6.1%、AAのみを行った群では9.5%、33.3%、0%だった。AAとipilimumabの投与を行った群ではダウンステージを認めた患者もいた。

 全ての毒性でグレード3以上のものは、AAとipilimumabの投与を行った群では肝機能検査値の一過性の上昇(LFT)8人、下痢3人、末梢神経障害1人などで、AAのみを行った群ではLFT4人、発疹1人、高血圧1人などだった。グレード4以上のものは、AAとipilimumabの投与を行った群ではALTの上昇、高尿酸血症を各1人に認めた。AAのみを行った群では高尿酸血症、高血圧が各1人だった。

 また、AAとipilimumabの投与を行った群では、局所性の白斑や異型母斑の落屑といった特異的な皮膚の変化がみられた患者もいた。しかし、本試験の忍容性は全般的に良好で、免疫関連有害事象は管理可能で可逆性だった。

 Tollefson氏らは、「PSAの低下については主要評価項目を達成できなかったが、安全性と奏効の点では評価できた。今後の進行性前立腺癌に対するipilimumabの試験では、10mg/kgの高用量や繰り返し投与する場合の有用性の検証などが必要」としている。