米Tulane Cancer CenterのA.Oliver Sartor氏

 タキサン系抗癌剤であるCabazitaxel (XRP-6258)が、ホルモン療法やドセタキセルベースの化学療法を受けたにも関わらず進行した転移性前立腺癌患者の死亡リスクを30%減少できることが明らかとなった。国際的なフェーズ3試験であるTROPIC試験の結果示された。成果は3月5日から7日に米サンフランシスコで開催された2010 Genitourinary Cancers SymposiumASCO GU2010)で、米Tulane Cancer CenterのA.Oliver Sartor氏(写真)によって発表された。

 テストステロンがない状態で進行する去勢術抵抗性の転移性前立腺癌(mCRPC)で、標準的な化学療法を受けたのにも関わらず病状が進行した患者には、有効な治療法がないのが現状だ。mCRPCにはドセタキセルが投与されるが、多剤耐性(MDR)たんぱく質によって細胞内から排除されるようになると効果がなくなる。MDRたんぱく質はCabazitaxelを認識しないため、細胞内から排除されず効果が持続すると考えられている。

 TROPIC試験は、26カ国132施設で755人のmCRPC患者を対象に行われた。患者は無作為にCabazitaxelとプレドニゾンを投与される群(378人)とミトキサントロンとプレドニゾンを投与される群(377人)に無作為に割り付けられた。プレドニゾンは両群とも1日当たり10mgが毎日投与され、Cabazitaxelは3週間ごとに25mg/m2、ミトキサントロンは3週間ごとに12mg/m2が投与された。

 試験の結果、観察期間中央値が12.8カ月で、Cabazitaxel、プレドニゾン投与群はミトキサントロン、プレドニゾン投与群に比べて統計学的に有意に全生存を延長した(ハザード比0.70、95%信頼区間:0.59-0.83、p<0.0001)。全生存期間中央値は、Cabazitaxel、プレドニゾン投与群は15.1カ月、ミトキサントロン、プレドニゾン投与群は12.7カ月だった。無増悪生存(PFS)も、Cabazitaxel、プレドニゾン投与群はミトキサントロン、プレドニゾン投与群に比べて統計学的に有意に全生存を延長した(ハザード比0.74、95%信頼区間:0.64-0.86、p<0.0001)。全生存期間中央値は、Cabazitaxel、プレドニゾン投与群は2.8カ月、ミトキサントロン、プレドニゾン投与群は1.4カ月だった。奏効率、PSA反応もすべてCabazitaxel、プレドニゾン投与群の方が優れていた。

 最も頻度の高いグレード3/4の副作用は好中球減少で、Cabazitaxel、プレドニゾン投与群で81.7%、ミトキサントロン、プレドニゾン投与群で58.0%に認められた。発熱性好中球減少症の発生率はCabazitaxel、プレドニゾン投与群で7.5%、ミトキサントロン、プレドニゾン投与群で1.3%だった。

 なお、Cabazitaxelについては、フランスSanofi aventis社が前立腺癌の第2選択薬として段階的承認申請を米で既に開始している。日本では開発検討中だ。