KRAS野生型で転移を有する大腸癌患者のファーストライン治療として、FOLFIRI+セツキシマブとFOLFIRI+ベバシズマブを比較したフェーズ3のFIRE-3試験から、全RAS野生型の患者ではFOLFIRI+セツキシマブで全生存期間(OS)が7.5カ月延長したが、BRAF変異またはPIK3CA変異を有する患者では治療間で有効性に差がなく、あらためて全RAS野生型におけるFOLFIRI+セツキシマブの有用性が明確になった。1月16日から18日まで米サンフランシスコで開催されたGastrointestinal Cancer Symposium(ASCO-GI)で、ドイツUniversity Hospital GrosshadernのSebastian Stintzing氏が発表した。

 FIRE-3試験の対象はKRAS(exon2)野生型の患者592人で、有効性に関するデータは昨年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で発表された。ITT解析対象集団において、主要評価項目である奏効率は、FOLFIRI+セツキシマブを投与した群(セツキシマブ群)62.0%、FOLFIRI+ベバシズマブ群(ベバシズマブ群)58.0%で、有意差は得られなかった(p=0.183)。副次的評価項目であるPFSも、それぞれ10.0カ月と10.3カ月で差はなかった(p=0.547)。

 しかし、OSはセツキシマブ群28.7カ月、ベバシズマブ群25.0カ月となり、セツキシマブ群で3.7カ月の延長が示された(ハザード比0.77、p=0.017)。さらにRAS野生型では、OSがセツキシマブ群で7.5カ月延長し、それぞれ33.1カ月と25.6カ月となった(ハザード比0.70、p=0.011)。RAS野生型の奏効率はそれぞれ65.5%と59.6%(p=0.32)、PFS中央値はそれぞれ10.4カ月と10.2カ月(p=0.54)で、両群で同等だった。一方、RAS変異型ではベバシズマブ群に対するセツキシマブ群の有用性はみられなかった。

 今回は、同試験のプロトコールで予定されていた解析として、パイロシーケンス法を用いたEGFR伝達経路の遺伝子変異の影響について報告された。

 407人(69%)で全RASの変異の状態が解析可能だった。RAS野生型は342人、RAS変異型は65人(16%)だった。Stintzing氏らは、KRAS(exon2、3、4)、NRAS(exon2、3、4)、BRAF(V600E)に次いで、PIK3CA(exon9、20)とAKT E17Kについて検討し、奏効率、PFS、OSに対する影響を評価した。

 RAS変異型の65人中、BRAF変異、PIK3CA exon9の変異、PIK3CA econ20の変異との二重の変異を認めた患者は10人(15%)だった。一方、RAS野生型の342人中、BRAF変異、PIK3CA exon9の変異、PIK3CA exon20の変異、AKT E17Kの変異を認めた患者は72人(21%)だった。BRAF変異型の患者は計48人、PIK3CA変異型の患者は、RASの状態が評価されなかった患者で検出された人数も含め、計38人となった。

 BRAF変異型の患者における奏効率は、セツキシマブ群52.2%、ベバシズマブ群40.0%、オッズ比1.64(95%信頼区間:0.52-5.14)となり、両群で同等だった(p=0.29)。PFS中央値もそれぞれ4.9カ月と6.0カ月、ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.49-1.57)となり、両群で同等だった(p=0.65)。OS中央値も両群で同等となり、セツキシマブ群12.3カ月、ベバシズマブ群13.7カ月、ハザード比は0.87(95%信頼区間:0.47-1.61)だった(p=0.65)。

 PIK3CA変異型の患者における奏効率は、セツキシマブ群47.4%、ベバシズマブ群57.9%、オッズ比は0.65(95%信頼区間:0.18-2.36)となり、両群で同等だった(p=0.84)。PFS中央値はそれぞれ7.8カ月と13.3カ月で、ベバシズマブ群で延長したが、ハザード比は1.61(95%信頼区間:0.80-3.25)となり、有意差はなかった(p=0.18)。OS中央値は、セツキシマブ群26.5カ月、ベバシズマブ群25.9カ月、ハザード比は1.08(95%信頼区間:0.48-2.43)となり、両群で同等だった(p=0.86)。

 これらの結果から、Stintzing氏は「転移を有する大腸癌患者では、RAS(KRASとNRAS)の変異の状態を最初に検査することが強く推奨される」と結論した。