転移を有する膵腺癌のファーストライン治療として、nab-パクリタキセルとゲムシタビンの併用投与とゲムシタビンの単剤投与を比較したフェーズ3のランダム化試験(MPACT)から、全生存期間(OS)に関する最新データが発表され、OS中央値は併用投与により2カ月以上延長したことがわかった。1月16日から19日まで米サンフランシスコで開催されたGastrointestinal Cancer Symposium(ASCO-GI)で、オーストラリアPrince of Wales HospitalのDavid Goldstein氏が発表した。

 MPACT試験では、転移を有するIV期の膵腺癌で、治療歴がなく、Karnofsky performance status(KPS)が70以上の患者を対象として、nab-パクリタキセルとゲムシタビンを併用投与する群(併用群)とゲムシタビン単剤を投与する群(単剤群)を比較した。

 2009年5月から2012年4月までに、北米・欧州・オーストラリアの151施設において、計861人を併用群または単剤群に1:1でランダムに割付け、併用群431人(年齢中央値62歳、男性57%)、単剤群430人(同63歳、60%)となった。併用群では28日を1サイクルとし、nab-パクリタキセル125mg/m2とゲムシタビン1000mg/m2を1、8、15日目に投与した。単剤群では、1サイクル目はゲムシタビン1000mg/m2を週1回、7週間投与し、1週間休薬した後、2サイクル目以降は28日を1サイクルとして1、8、15日目に投与した。CTを8週毎に撮影し、進行を認めるまで治療を継続した。

 対象の80%が死亡した2012年9月17日をカットオフ日とすると、主要評価項目であるOS中央値は、併用群8.5カ月、単剤群6.7カ月、ハザード比0.72(95%信頼区間:0.617-0.835)となり、併用群で有意に改善した(p<0.001)。1年生存率はそれぞれ35%と22%だった。さらに、無増悪生存期間(PFS)は併用群5.5カ月、単剤群3.7カ月、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.581-0.821)となり(p<0.001)、独立審査委員会の評価による奏効率はそれぞれ23%と7%だった(p<0.001)。

 今回の発表では、データカットオフ日を2013年5月9日とした事後解析から、最新のOSの結果が報告された。

 データカットオフ日までに、併用群では431人中380人(88%)、単剤群では430人中394人(92%)が死亡した。

 長期の追跡により、治療群間でOS中央値に2.1カ月の差が開いたことがわかった。OS中央値は、併用群8.7カ月(95%信頼区間:7.89-9.69)、単剤群6.6カ月(95%信頼区間:6.01-7.20)、ハザード比は0.72(95%信頼区間:0.620-0.825)となり、有意差を認めた(p<0.0001)

 1年生存率は先の報告と一致しており、2年生存率は先の報告の併用群9%、単剤群4%から、それぞれ10%と5%となった。長期の追跡から推定可能となった3年生存率は、併用群4%、単剤群0%だった。

 多変量解析では、先の報告と一致して、年齢、KPS、肝転移が独立した予後予測因子として抽出され(それぞれp=0.0138、p<0.0001、p<0.0001)、今回はベースラインのCA19-9の値も有意な予後予測因子となった(p=0.0457)。

 併用群では、予後予測因子としてのCA19-9の影響が低下することも示された。併用群では、ベースラインのCA19-9が中央値未満、中央値以上の患者でOSに差はなかった(ハザード比0.983[95%信頼区間:0.787-1.227]、p=0.4697)。一方、単剤群では、CA19-9が中央値以上の患者と比べて中央値未満の患者でOSが有意に延長した(ハザード比0.773[95%信頼区間:0.616-0.970]、p=0.0012)。

 安全性に関する新たな徴候は両群ともに認めなかった。併用群で多く観察されたグレード3以上の毒性は、好中球減少38%、白血球減少31%、末梢神経障害17%、疲労感17%で、単剤群ではそれぞれ27%、16%、1%未満、7%だった。グレード4の末梢神経障害を認めた患者はいなかった。

 Goldstein氏は「nab-パクリタキセルとゲムシタビンの併用は、転移を有する膵腺癌患者に対し、長期生存の可能性がある重要な治療選択肢となる」と述べた。