転移を有する膵腺癌で治療歴がある患者に対し、異なる2種類の癌ワクチンの接種、すなわちGVAX Pancreas(以下、GVAX)を接種後にCRS-207を接種すると、GVAXのみを接種した場合と比べて全生存期間(OS)が改善したことが、多施設共同、非盲検、フェーズ2のランダム化試験の最新の解析結果から示された。同試験は中間解析で有効性が示され、中止となった。1月16日から19日まで米サンフランシスコで開催されたGastrointestinal Cancer Symposium(ASCO-GI)で、米Sidney Kimmel Comprehensive Cancer Center at Johns Hopkins UniversityのDung T. Le氏が発表した。

 GVAXは、放射線照射を行い、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を分泌するよう遺伝子操作を行った膵癌細胞からなり、広範に抗原反応を引き起こす。有効性を高めるため、GVAXの接種前には低用量のシクロホスファミドを投与する。一方、CRS-207は弱毒化したリステリア・モノサイトゲネスで、膵癌細胞に多く発現する蛋白のメソセリンに対する免疫反応を刺激する。

 CRS-207のフェーズ1試験では、対象17人のうち7人が膵癌患者で、この7人のOS中央値は、CRS-207のみを接種した4人の5カ月に対し、GVAXを併用した3人では17カ月となった。

 フェーズ2試験の対象は、IV期の転移を有する膵腺癌で、ECOG PS 0-1、化学療法を1レジメン以上受けた、または拒否した患者だった。接種は3週毎とし、シクロホスファミドの投与とGVAXの接種を2回行った後、CRS-207を4回接種する群(A群)、またはシクロホスファミドの投与とGVAXの接種を6回行う群(B群)に、対象を2:1に割り付けた。臨床的に安定状態にあれば投与は繰り返し可能とした。追跡は24カ月行うこととした。主要目的は治療群間のOSを比較すること、副次的な目的は安全性、奏効、免疫学的応答を評価することだった。

 90人が登録され、A群61人(年齢中央値63歳、男性56%)B群29人(同67歳、66%)となり、患者背景は両群でバランスがとれていた。転移部位は肝転移が最も多く、A群64%、B群の76%に認めた。転移に対し2レジメン以上の化学療法を受けた患者は、それぞれ52%と48%だった。

 平均のワクチン接種回数は、A群5.5、B群3.7だった。中間解析では、最大の解析対象集団(FAS)におけるOS中央値は、A群6.0カ月、B群3.4カ月、ハザード比0.4477となった(p=0.0057)。

 今回発表された最新の解析では、FASにおける追跡期間中央値7.8カ月の時点でのOS中央値は、A群6.1カ月、B群3.9カ月、ハザード比は0.5930となった(p=0.0172)。1年生存率は、A群24%、B群12%だった。

 治験実施計画書に適合した対象集団(Per Protocol Set[PPS]:ワクチンを3回接種し、このうち1回はCRS-207)におけるOS中央値はさらに延長し、A群9.7カ月、B群4.6カ月、ハザード比0.5290となった(p=0.0167)。

 生存に対する有用性が顕著だったのは、試験治療をサードライン治療として受けた患者で、FASのOS中央値は、A群5.7カ月、B群3.7カ月、ハザード比0.2957だった(p=0.0003)。PPSで試験治療をサードライン治療として受けた患者のOS中央値は、A群8.3カ月、B群4.0カ月、ハザード比0.2168となった(p=0.0002)。

 奏効については、両群ともに完全奏効、部分奏効は認めず、安定状態(SD)がA群37%、B群30%だった。

 また、CA19-9の数値の安定は、A群の32%、B群の13%で認められた(p=0.06)。

 毒性として、GVAX接種後の局所反応、CRS-207投与後の一過性の発熱、硬直、リンパ球減少などが発現した。A群では、接種部位の落屑と疼痛が各1.6%、発熱が4.9%、リンパ球減少が8.2%に発現し、B群ではそれぞれ0%、3.4%、0%、3.4%だった。

 Le氏によると、シクロホスファミド+GVAXとCRS-207の併用、CRS-207単剤、化学療法の3群を比較する臨床試験が現在進行中である。