切除不能な食道癌に対し、パクリタキセル+シスプラチンの週1回の投与と放射線療法を併用する同時化学放射線療法にセツキシマブを追加しても、全生存率(OS)は改善せず、臨床的完全奏効(cCR)率も組織型に関わらず改善しないことが、フェーズ3のランダム化試験(RTOG0436)の初回報告から明らかになった。1月16日から19日まで米サンフランシスコで開催されているGastrointestinal Cancer Symposium(ASCO-GI)で、米University of Maryland Mariene and Stewart Greenebaum Cancer CenterのMohan Suntharalingam氏が発表した。

 RTOG0436試験の対象は、生検で食道の扁平上皮癌または腺癌が確認され(T1N1M0、T2-4 Any N M0、Any T/N M1aのいずれか)、18-75歳、Zubrod performance status 0-2などの条件を満たす患者だった。

 同時化学放射線療法として、パクリタキセル50mg/m2、シスプラチン25mg/m2を週1回投与し、計50.4Gy(1回照射量1.8Gy)の照射を行った。この治療に追加して、セツキシマブ400mg/m2を1日目に投与し、その後は週1回250mg/m2投与する1群と、セツキシマブを追加しない2群に、患者をランダムに割付けた。患者の層別化は、組織学的所見(腺癌と扁平上皮癌)、腫瘍径(5cm未満と5cm以上)、腹腔リンパ節転移の有無により行われた。主要目的は、セツキシマブの追加による全生存率(OS)の改善を評価することだった。

 2008年から2013年までに344人が登録され、328人が適格と判断された。同試験では、各組織型で150人が集積された時点でのcCRの中間解析が予定されており、その結果に基づき、腺癌では2012年5月、扁平上皮癌では2013年1月に症例集積が中止となった。

 適格とされた患者は、1群159人、2群169人だった。1群の年齢中央値は65歳、男性は82%、Zubrod performance statusが1-2の患者は56%、2群ではそれぞれ63歳、86%、48%だった。1群と2群において、T3/T4はそれぞれ81%と79%、N1は66%と65%、M1aは16%と13%、腫瘍径5cm以上は55%と54%、腺癌は63%と61%、扁平上皮癌は37%と39%、腹腔リンパ節転移陽性は18%と20%で、これらの患者背景にはいずれも有意差はなかった。

 治療に関連するグレード3、4、5の血液毒性は、1群ではそれぞれ45%、22%、4%、2群では49%、17%、1%に発現した。グレード3、4、5の非血液毒性は、1群ではそれぞれ45%、13%、4%、2群では45%、7%、1%に発現した。予測された通り、皮膚毒性はセツキシマブを追加した1群で多く観察された。

 全対象の追跡期間中央値は15.4カ月だった。2年のOSは、1群では44.0%、2群では41.7%、ハザード比は0.92(95%信頼区間:0.70-1.21)となり、治療群間に有意差はなかった(p=0.70)。腺癌と扁平上皮癌の比較でも、2年のOSのハザード比は1.09(95%信頼区間:0.81-1.44)で差はなかった。

 OSについての多変量解析では、Zubrod performance status(0 vs 1/2)、腫瘍径(5cm未満 vs 5cm以上)が予測因子として抽出された(それぞれp=0.0015、p=0.0002)。

 治療終了の6-8週後に内視鏡検査で奏効を評価すると、腺癌のCR率は、1群53%、2群54%、扁平上皮癌のCR率はそれぞれ59%と64%となり、いずれも有意差はなかった(それぞれp=0.62、p=0.78)。

 cCRが得られた患者と腫瘍が残存した患者を比較すると、全対象ではOSのハザード比は2.12(95%信頼区間:1.59-2.83)となり、腺癌ではハザード比1.59(95%信頼区間:1.11-2.26)、扁平上皮癌ではハザード比3.67(95%信頼区間:2.22-6.07)となった。治療終了の6-8週後にcCRを認めた患者で2年のOSが良好であることが示された。

 Suntharalingam氏は「本試験のデータは、切除不能な食道癌患者に現在使用可能な抗EGFR抗体と同時化学放射線療法を併用しても、生存に寄与しないというエビデンスを追加するものとなった」と結論した。