ソラフェニブを投与した転移性腎細胞癌患者に発生する手足症候群に対し、褥瘡治療に用いられるセラミド配合低摩擦ハイドロコロイドドレッシングは、尿素10%配合クリームと比較して、症状の重篤化を予防できることが示された。5月31日まで米国シカゴで開催された第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2013)で、北海道大学の篠原信雄氏が発表した。

 手足症候群(HFSR)は角質に障害が起こる症状で、特に分子標的薬によるHFSRは強い圧迫に曝される足裏に角質化が表れることが多い。HFSRはソラフェニブを投与した転移性腎細胞癌患者における副作用で、ソラフェニブの用量制限毒性の1つだが、現在、エビデンスのある治療法は確立されていない。

 篠原氏らは、褥瘡用の被覆材として用いられているセラミド配合低摩擦ハイドロコロイドドレッシング(製品名:リモイスパッド)の患部への貼付がHFSRの発症と悪化を防ぐ可能性があるとして、その有用性を評価した。

 このフェーズ2試験は、多施設共同ランダム化オープンラベル前向き試験として実施された。切除不能腎細胞癌の登録数は、予定していた100例には及ばず、2012年4月、36例の患者で開始した。

 対象は、20歳以上、PS 0/1、ソラフェニブ治療開始後8週間以内で、グレード1のHFSRが足裏に発生した症例とし、セラミド配合低摩擦ハイドロコロイドドレッシングを使用するA群(17例)と、対照群である尿素10%配合クリームを使用するB群(16例)に割り付け、4週間治療した。

 主要評価項目ではグレード2/3のHFSR、また副次評価項目は、ソラフェニブ治療のコンプライアンス(減量や治療中断)、視覚的評価スケール(VAS)による疼痛評価、治療の安全性を検討した。

 患者背景は、A群、B群において、男女比(それぞれ82%、75%)、年齢(中央値それぞれ65歳、68歳)、BMI(中央値それぞれ24、24)、IFN-αによる前治療歴(それぞれ59%、63%)、登録時の手のひらのHFSR発生(それぞれ59%、56%)のいずれの項目も、ほぼ同様の割合だった。

 追跡の結果、グレード2/3の足裏におけるHFSRの発生は、A群で5例(29%)、B群で11例(69%)と、A群で有意に低く、特にグレード3の発生が減っていた。

 また、グレード2以上のHFSRが発症するまでの期間も、B群が22日(95%信頼区間:15-27日)に対し、ハイドロコロイドドレッシングを用いたA群では28日以上(同:13-28+日)と有意に長かった(p=0.03)。
 
 足裏のHFSRにおける疼痛評価では、治療開始時および開始後2週間目、4週間目において、直近7日間に最大の疼痛を感じた割合と疼痛スコア中央値の割合とを調べて比較した。

 A群はB群と比較して、2週間目の疼痛スコア中央値が有意に低かった。2週間時点の疼痛スコア中央値はそれぞれA群1(0-7)、B群3(1-9)、4週間時点ではそれぞれ2(0-7)、5(1-10)だった(p=0.45、0.05)。

 一方、手のひらにおけるHFSRでは、グレード2/3が発生したのはA群8例(47%)、B群9例(56%)で有意な差ではなかった。

 A群で皮膚に軽度の痛みを感じた患者が1例認められた他、有害事象は認められなかった。

 以上の結果から、ソラフェニブを投与したmRCC患者における手足症候群に対し、セラミド配合低摩擦ハイドロコロイドドレッシングは手足症候群の発症と悪化の予防に有効であるとした。特に体重がかかることで症状が重篤になりやすい足裏のHFSRの重篤化を予防していることが注目されると、篠原氏は語った。